TRENDIA CLASSIC

ヘンゼルとグレーテル

グリム Grimm

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ある大きな森のはずれに、ひとりの貧乏な木こりが、おかみさんと、ふたりの子どもといっしょに住んでいました。ふたりの子どもは、男の子がヘンゼル、女の子はグレーテルといいました。この木こりは、ふだんでもろくに食べるものがありませんでしたが、ある年、国じゅうに大ききんがおこったため、こんどは、まい日のパンさえ食べることができなくなりました。木こりは、晩に寝床へはいってからも、あれやこれやと考えると、心配で心配でねむることもできず、ねがえりばかりうっていました。そしてそのあげくに、ため息をつきつき、おかみさんにいいました。

「これからさき、おれたちはどうなるんだ。かわいそうな、あの子らを、どうやってくわせていったもんだろう。おれたちだけでも、くうものがないんだからなあ。」

「じゃ、おまえさん、こうしたらどう。」

と、おかみさんがこたえました。

「あしたの朝、うんとはやく、子どもたちを森のなかへつれだして、いちばん木のたてこんでいるとこまでつれていくんだよ。そしたら、そこで、たき火をおこして、ふたりにパンをひときれずつやっておいてさ、わたしたちゃしごとにでかけて、ふたりはそのままおいてきぼりにしちまうんだよ。そうすりゃ、かえり道なんかわかりっこないんだから、それでやっかいばらいというわけさ。」

「そいつあ、いけねえよ、おめえ。」

と、木こりはいいました。

「そんなこたあ、おれにゃあできねえ。子どもらを森のなかにすててくるなんて、とてもそんな気にゃあなれねえ。そんなことをしようもんなら、すぐに森のけだものがとびだしてきて、あのふたりをずたずたにひきさいちまわあな。」

「おまえさんは、なんてばかなんだい。」

と、おかみさんはいいました。

「そんなことをいってりゃ、わたしたちゃ四人とも、ひぼしになって、死んじまうじゃないか。まあ、棺おけの板でもけずっとくがいいさ。」

おかみさんはこういって、それからも、なんのかんのとうるさくいいたてますので、とうとう、木こりも承知してしまいました。

「だが、やっぱり子どもらがかわいそうだなあ。」

と、木こりはいいました。

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