天国へいった仕立屋さん
本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
神さまの留守中に天国の門を訪れた正直者を自称する仕立屋は、聖ペテロを説得して門の内側へと入り込む。こっそりと天国内を探索し、地上を見渡せる神の安楽いすに座った彼は、川で布を盗む老婆を目撃する。憤慨した仕立屋は神の足台を地上へ投げつけるが、その行為を神に見咎められる。天国における裁きの権限は神のみにあると諭された彼は、天国を追い出され、兵隊たちが集う場所へと向かうこととなる。
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ある晴れわたった日のことでした。神さまは天国のお庭を散歩なさろうとお思いになって、使徒や聖者たちをみんなおつれになりました。そのため、天国には聖ペテロさまがひとりしかのこっていませんでした。
神さまは、ごじぶんのるすのあいだは、だれもいれてはいけない、と、聖ペテロさまにおいいつけになりました。それで、聖ペテロさまは門のところに立って、番をしておりました。
すると、まもなく、だれかが門をトントンとたたきました。ペテロさまは、
「だれかね。なんの用事だね。」
と、たずねました。
「わたくしは、まずしい正直な仕立屋でございます。どうかおいれくださいまし。」
という、やさしい声がしました。
「なるほど、正直か。」
と、ペテロさまはいいました。
「首つり台にのぼったどろぼうのようにな。おまえは指を長くして、ひとの布地をはさみとったではないか。おまえは、天国にはいれはしない。神さまがそとにでかけていらっしゃるあいだは、だれもなかにいれてはいけないとお申しつけをうけているのだ。」
「どうかおなさけをおかけくださいまし。」
と、仕立屋さんが大きな声でもうしました。
「ひとりでに仕立台からおちるくずのつぎきれなぞは、ぬすむというほどのものではございません。ごらんくださいまし、わたくしは足がわるいのです。それに歩いてまいりましたので、足にまめができてしまって、もうひきかえすことができません。どうかなかにいれてくださいまし。どんなひどいしごとでもいたします。お子さんがたをだっこもいたしますし、おむつのせんたくもいたします。お子さんがたのあそんだこしかけをきれいにして、ぞうきんがけもいたしますし、お子さんがたのやぶけた着物のつくろいもいたします。」
聖ペテロさまはかわいそうになって、仕立屋さんのために、門をほんのすこしあけてやりました。仕立屋さんは、そのすきまから、やせほそったからだをすべりこませました。
仕立屋さんは門のうしろのすみっこにこしをおろして、そこでだまってじっとしているようにいいつかりました。だって、神さまがおかえりになったとき、仕立屋さんを見つけて、おいかりになるとこまりますからね。