りこうもののエルゼ
本文約4,700字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
りこうもののエルゼと呼ばれる娘は、ハンスとの結婚を控え、地下室で将来生まれる子供の身に降りかかる災難を想像して泣き崩れる。娘の理屈に感心した家族やハンスもまた、つられて泣き始める。結婚後、エルゼは畑仕事中に食べたり眠ったりして時間を過ごす。夫が鈴をつけた網をかけて家を閉ざすと、目覚めたエルゼは自分の正体が分からなくなり、家を確認しに行くが、鈴の音に驚いた人々によって村から追い出され、行方知れずとなる。
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あるところに、ひとりの男がおりました。男には、ひとりのむすめがありました。このむすめは〈りこうもののエルゼ〉という名まえでした。
さて、このむすめがすっかり大きくなりましたので、おとうさんはおかあさんにいいました。
「もうむすめをよめにやろうじゃないか。」
すると、おかあさんはこたえました。
「ええ、およめにもらいたいっていう人がきましたらね。」
やがて、遠くのほうから、ハンスという人がやってきて、エルゼをおよめさんにもらいたいといいました。ただ、このひとは、りこうもののエルゼがみんなのいうとおり、ほんとうにりこうならもらうけれど、ということでした。
「いや、それなら、このむすめはまったくりこうですよ。」
と、おとうさんがいいました。
おかあさんはおかあさんで、
「まあ、この子は風が通りをふきすぎるのが見えたり、ハエがせきをするのもきこえるんですからね。」
と、もうしました。
「そうですか。」
と、ハンスがいいました。
「エルゼさんがほんとうにりこうでなけりゃ、わたしはもらいませんよ。」
みんなは食卓につきました。やがて、食事がおわりますと、おかあさんがいいました。
「エルゼや、地下室へいって、ビールをもってきてちょうだい。」
そこで、りこうもののエルゼは壁からビール入れをとって、地下室へおりていきましたが、たいくつしのぎに、とちゅうで、ふたをいきおいよくパクンパクンとならしました。
地下室へはいりますと、エルゼは小さいいすをもちだして、それをたるのまえにおきました。つまり、こうすれば、からだをまげる必要がありませんから、背中のいたむようなこともありませんし、またもうひとつには、思いがけないわざわいをこうむることもないのです。