TRENDIA CLASSIC
りこうもののエ
ルゼ
グリム Grimm
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あるところに、ひとりの男がおりました。男には、ひとりのむすめがありました。このむすめは〈りこうもののエルゼ〉という名まえでした。
さて、このむすめがすっかり大きくなりましたので、おとうさんはおかあさんにいいました。
「もうむすめをよめにやろうじゃないか。」
すると、おかあさんはこたえました。
「ええ、およめにもらいたいっていう人がきましたらね。」
やがて、遠くのほうから、ハンスという人がやってきて、エルゼをおよめさんにもらいたいといいました。ただ、このひとは、りこうもののエルゼがみんなのいうとおり、ほんとうにりこうならもらうけれど、ということでした。
「いや、それなら、このむすめはまったくりこうですよ。」
と、おとうさんがいいました。
おかあさんはおかあさんで、
「まあ、この子は風が通りをふきすぎるのが見えたり、ハエがせきをするのもきこえるんですからね。」
と、もうしました。
「そうですか。」
と、ハンスがいいました。
「エルゼさんがほんとうにりこうでなけりゃ、わたしはもらいませんよ。」
みんなは食卓につきました。やがて、食事がおわりますと、おかあさんがいいました。
「エルゼや、地下室へいって、ビールをもってきてちょうだい。」
そこで、りこうもののエルゼは壁からビール入れをとって、地下室へおりていきましたが、たいくつしのぎに、とちゅうで、ふたをいきおいよくパクンパクンとならしました。
地下室へはいりますと、エルゼは小さいいすをもちだして、それをたるのまえにおきました。つまり、こうすれば、からだをまげる必要がありませんから、背中のいたむようなこともありませんし、またもうひとつには、思いがけないわざわいをこうむることもないのです。
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