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TORENDIA

旗本退屈男

本文約24,100字 ・ 読了時間 約49分

あらすじ(AIが作成しました)

江戸の旗本・早乙女主水之介は、退屈のあまり西国・京の都を訪れる。島原見物へ向かう道中、珠数屋の職人・弥太一が四人の役侍に欺き斬られる場に居合わせる。職人を救い出し、珠数屋の財宝を巡る悪党らの企みを知った主水之介は、眉間の傷跡も鮮やかに悪党たちを成敗する。その後、所司代へ向けた血書を掲げ、さらなる退屈を求めて夜霧の中へと姿を消す物語を描く。

佐々木味津三

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一

その第四話です。

第三話において物語ったごとく、少しばかり人を斬り、それゆえに少し憂欝になって、その場から足のむくまま気の向くままの旅を思い立ち、江戸の町の闇から闇を縫いながら、いずこへともなく飄然と姿を消したわが退屈男は、それから丁度十八日目の午下り、霞に乗って来た男のように、ふんわりと西国、京の町へ現れました。

――春、春、春。

――京の町もやはり青葉時です。

都なればこそ京の青葉はまたひとしおに風情が深い。

ふとん着て寝た姿の東山、清水からは霞が降って、花には遅いがそれゆえにまた程よく程のよい青嵐の嵐山。六波羅跡の崩れ垣の中からは、夜な夜な変な女が出て袖を引いて、いち夜妻のその一夜代が、ただの十六文だというのだ。

されば、退屈男の青月代も冴え冴えとして愈々青み、眉間に走る江戸名代のあの月の輪型の疵痕もまた、愈々美しく凄みをまして、春なればこそ、京なればこそ、見るものきくもの珍しいがままに、退屈が名物のわが退屈男も、七日が程の間は、あちらへぶらり、こちらへぶらり、都の青葉の風情を追いつつ、金に糸目をつけない京見物と洒落込みました。

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