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TORENDIA

人外魔境

本文約38,700字 ・ 読了時間 約78分

あらすじ(AIが作成しました)

赤道中央アフリカのコンゴ北東部、通称「悪魔の尿溜」と呼ばれる地域には、人類が一人も見たことのない巨獣の墓場が存在すると伝えられる。この神秘境を探索するため、探検隊の一員である座間らは密林を分け入り、ついに難行の末に現地へ到達する。しかし、そこは異様な毒虫の群れや霧に閉ざされ、人間が足を踏み入れれば魂を奪われる禁忌の地であった。座間は森の掟に従い、人性を忘れ獣の境地へ至りながら、最後の手記を書き残して消息を絶つ。

小栗虫太郎

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大魔境「悪魔の尿溜」

フランスの自動車会社シトロエンの探検隊――。これは、米国地理学協会ほどの大規模なものではないが、とにかく一営利会社としてはなかなかの仕事をしている。最初は、アフリカのサハラ沙漠を牽引車で突破し、続いて、ペルシア、中央アジアを経てペキンまで、無限軌道をうごかしていった大旅行隊をさえだしている。

さて、その三回目の計画であるが、すでに選定もすみ雨期あけを待つばかりだそうである。それも、これまでのような自動車旅行ではなく、謎と臆測と暗黒のうちにうずもれている、前人未踏の神秘境を指しているのだ。

では、どこか? そんな土地がまだこの地球上にあるのかと、読者諸君は不審がるだろうが、あるとも大有りである。

「未踏地帯」と、精密な地図にさえ白圏のままに残された個所が、まだ四、五か所はある。それらの土地は、なにか踏みいれば驚天動地的なものがあるだろうと、聴くだに探奇心をそそりたてる神秘境なのである。

そこでまず、選定会議にのぼった候補地をあげることにしよう。そうして、シトロエンの探検隊がこれからゆこうという場所が、いかにそれらさえも凌ぐ超絶的な地位にあるかということを、読者諸君にはっきりと知って貰おう。

一、南米アマゾン河奥地の、“Rio Folls de Dios”の一帯。 二、北極にちかい、グリーンランドの中央部八千尺の氷河地帯にあるといわれる、“Ser‐mik‐Suah”の冥路の国。 三、支那青海省の“Puspamada”いわゆる金沙河ヒマラヤの巴顔喀喇山脈中の理想郷。 四、?  第一のアマゾン河奥地というのは「神々の狂人」と訳される。ここへは、米国コロンビア大学の薬学部長ラマビー博士一行が探検したが、ついに瘴癘湿熱の腐朽霧気地帯から撃退されている。ただ、白骨をのせた巨蓮の食肉種が、河面を覆うているのが望遠レンズに映ったそうである。

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