級長の願い
本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
貧困により授業料や戦争協力費を納められず、同級生から疎外される小学生の級長が、担任へ退学を告げる手紙を綴る。仕事のない父親と飢える家族の困窮ぶり、学校で強いられる軍事協力への困惑、そして戦争の惨禍を訴える少年の言葉をとおして、当時の格差社会における生活の困窮と、戦争がもたらす悲劇的な現実を鋭く告発する。少年の純粋な叫びと、彼を取り巻く過酷な状況を背景に、戦争の是非と人々の生活について深く問いかける。
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先生。
私は今日から休ませてもらいます。みんながイジめるし、馬鹿にするし、じゅ業料もおさめられないし、それに前から出すことにしてあった戦争のお金も出せないからです。先生も知っているように、私は誰よりもウンと勉強して偉くなりたいと思っていましたが、吉本さんや平賀さんまで、戦争のお金も出さないようなものはモウ友だちにはしてやらないと云うんです。――吉本さんや平賀さんまで遊んでくれなかったら、学校はじごくみたいなものです。
先生。私はどんなに戦争のお金を出したいと思ってるか分りません。しかし、私のうちにはお金は一銭も無いんです。お父さんはモウ六ヵ月も仕事がなくて、姉も妹もロクロクごはんがたべられなくて、だんだん首がほそくなって、泣いてばかりいます。私が学校から帰えって行くたびに、うちの中がガランガランとかわってゆくのです。それだのに、お父さんにお金のことなんか云えますか。でも、みんなが、み国のためだというのでこの前、ほんとうに思い切って、お父さんに話してみました。そしたら、お父さんはしばらく考えていましたが、とッてもこわい顔をして、み国のためッてどういう事だか、先生にきいてこいと云うんです。後で、男のお父さんが涙をポロポロこぼして、あしたからコジキをしなければ、モウ食って行けなくなった、それに私もつれて行くッて云うんです。
先生。
お父さんはねるときに、今戦争に使ってるだけのお金があれば、日本中のお父さんみたいな人たちをゆっくりたべさせることが出来るんだと云いました。――先生はふだんから、貧乏な可哀相な人は助けてやらなければならないし、人とけんかしてはいけないと云っていましたね。それだのに、どうして戦争はしてもいいんですか。
先生、お父さんが可哀そうですから、どうか一日も早く戦争なんかやめるようにして下さい。そしたら、お父さんやみんながらくになります。戦争が長くなればなるほどかゝりも多くなるし、みんながモット/\たべられなくなって、日本もきっとロシヤみたいになる、とお父さんが云っています。