新女性のルポルタージュより
本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
若い婦人から寄せられた生活記録の原稿を読み、著者が生活ルポルタージュのあり方を論じる。主観的な感想に留まらず、自身の生活や心理を社会的な関係性や背景条件と結びつけて記述する重要性を説く。作中の佳作三篇について、率直な観察や生活の姿を認めつつ、地域性や他者の動きを広い視野で捉える必要性や、自身の立場を超えて人間社会を見つめる眼の力を養うよう提言する。
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集った原稿をよんで、生活のルポルタージュというものは案外むずかしいものであることを深く感じました。
ごく主観的に自分の気持というものを自分の気持の内からだけ書いた感想のようなものが多いことも、現代の社会での若い婦人の生活について考えさせます。そういう文章は、なるほどこの人はこんな心持でいるということだけは分らせるけれど、ルポルタージュとして今日の社会に生きる一人の女性とその周囲とのいきさつを丸彫りに浮び上らせて来ないから、読んだ人がそこから自分と自分の周囲を考えるヒントを得て来ることも出来ないし、又、書いている人自身にしても、そのルポルタージュをかくことで自分の生活や気持を社会の関係のなかで見直したしかめてゆく助けにならせることも出来ないでしょう。
生活記録というものは、自分とその周囲との生活や心持なりを、只私はこう思うという点で表現するばかりでなく、私がこう思って生きているのはどういう訳と条件があるからなのだろうか、というところまで考えて見て、書かれなければならないものだと思います。
佳作三篇[#「佳作三篇」はゴシック体]
(一)木枯。(奈良) 鷹美艶
これは小学校の女先生の報告です。特別鋭い観察や感情があるわけではないが、自分の仕事のなかでめぐり会った一情景と感情とを社会の姿として描き出しているところが、一番まとまっていました。書き方が小品との区別を明かにしていないようなところがありますが、ルポルタージュとしては、もっと具体的にその小学校のある地域の特殊性などをはっきり書く方がいいと思います。
所謂文学的な言葉のあやにかかずらう必要もないと思います。
(二)母への報告(熊本) 中島敏子
稚いけれども、母亡いのち一家のために役立とうとして暮している娘さんのひとすじの生活が語られています。
こんな気取りのない調子で、いろいろ複雑な生活の観察も書かれたらルポルタージュとしてよいものが出来るだろうと思いました。
(三)仕事場書き抜き 藤川睿子