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TORENDIA

その柵は必要か

本文約14,700字 ・ 読了時間 約30分

あらすじ(AIが作成しました)

勤労者文学という規定をめぐる民主主義文学運動の現状と課題を論じる。一九四七年の大会で提起された同概念は、労働者階級の文学の主軸化を目指す一方で、インテリゲンツィアや中小商工業者らを一括する曖昧な分類という課題を抱える。現場での文学サークル活動の発展や文学者間の議論をふまえ、階級による文学的役割を正確に位置づけ、既存の定義という柵を取り払うことで、より包括的かつ前進的な民主主義文学の発展を目指すべきだと主張する。

宮本百合子

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こんにち、「勤労者文学」の問題が、とくべつの関心のもとにとりあげられるということは、全体として民主主義文学運動が、一つの新しい発展の段階にふみだして来ていることを語ると思う。この課題について、わたしは自分として一定の見解を主張するというよりは、むしろ、みんなの手近にある『新日本文学』『文学サークル』『勤労者文学』などを見直して、そこからひき出されて来る具体的な論点をあらまし整理し、発展させてみる方が、実際的だと思う。

一 「勤労者文学」という規定についての疑問

新日本文学会の第三回大会(一九四七年十二月)で徳永直から民主主義文学運動における「勤労者文学」の現状についてという報告ならびに提案があった。提案の主旨は日本の人民的な民主主義革命を達成する主導力は、労働者階級であるという点から出発した。一九四八年二月の新日本文学をみると徳永直は「勤労者文学をもっと前におし出すこと」という表題で、みじかい文章をかいている。そのなかで彼が第三回大会で報告提案した「勤労者文学を前面におし出すこと、日本の民主主義文学は勤労者文学の前進なしにはつよくなることができないこと」そして「これを納得するか否かが第三回大会の眼目の一つである」ということを力説したかったとのべている。これは、当日徳永直の報告および提案が時間にせかれて充分説明するゆとりがなかったことを意味している。

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