TORENDIA
現代唯物論講話
戸坂潤
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序
現代唯物論の対象となるものを物質論・認識論・科学論・文化論・の四部門に分けて見た。存在が物質であり、之を認識するのが認識であり、その認識が科学に組織されるのであり、そして科学は文化に包括される、と考えたからである。夫々の部門に適当な論文を配置して統一を与えた。
各部門がこれ等の論文で要を尽しているなどとは到底思われない。寧ろ当然載るべき個処の論文が載っていない場合の方が多い。云わば之は、私の原子番号の内で今後の発見をまつ処のものである。論文は学究的乃至解説的なものを主とする。数年前のものもあるが加筆して編集した。
「空間論」は昔から多少纏めて見たいと思っていたので、之までどの論文集にも再録しなかったけれども、今の処ではいつ眼鼻がつくとも判らないので、ここに加えることにした。之は私を唯物論へ導く働きをしたものの一つで、思い出のあるものだが、空間問題は数年来理論的材料が増加しているので、私の論文が数年分後れた考察となったのは已むを得ない。いつか機を見て物にしたいと思っている題材である。――なおこの書物に現われた内容上形式上の甚だしい不備の点は、いつか恢復しなければならぬと考えている。
最後の論文(一〇、現代唯物論と文化問題)は新しく書いたもの。他のは『岩波講座』(「哲学」・「生物学」・「教育」)・『唯物論研究』・『理想』・『改造』・『中央公論』・其の他に一旦載ったものである。――なおこの書物の内容は、私の他の著書と密接な関係がある。奥付裏の著作表*を参照されるなら幸である。
一九三六・一二
東京 戸坂潤 [#改ページ]
第一部 物質論
一 「物質」の哲学的概念
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