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TORENDIA

食物として

本文約450字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

「うまさうな」を「肥った」と言う金沢の方言から着想し、里見君は刺身に、菊池君は椎茸と煮て、谷崎君は西洋酒でと、文壇の友人たちを食材に見立てる芥川龍之介の戯文。

芥川龍之介

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🎧 食物として / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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金沢の方言によれば「うまさうな」と云ふのは「肥つた」と云ふことである。例へば肥つた人を見ると、あの人はうまさうな人だなどとも云ふらしい。この方言は一寸食人種の使ふ言葉じみてゐて愉快である。

僕はこの方言を思ひ出すたびに、自然と僕の友達を食物として、見るやうになつてゐる。

里見君などは皮造りの刺身にしたらば、きつと、うまいのに違ひない。菊池君も、あの鼻などを椎茸と一緒に煮てくへば、脂ぎつてゐて、うまいだらう。谷崎潤一郎君は西洋酒で煮てくへば飛び切りに、うまいことは確である。

北原白秋君のビフテキも、やはり、うまいのに違ひない。宇野浩二君がロオスト・ビフに適してゐることは、前にも何かの次手に書いておいた。佐佐木茂索君は串に通して、白やきにするのに適してゐる。

室生犀星君はこれは――今僕の前に坐つてゐるから、甚だ相済まない[#「甚だ相済まない」は底本では「甚だ相済まない」]気がするけれども――干物にして食ふより仕方がない。然し、室生君は、さだめしこの室生君自身の干物を珍重して食べることだらう。(昭和二年四月)

完

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