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TORENDIA

明治美人伝

本文約17,800字 ・ 読了時間 約36分

あらすじ(AIが作成しました)

古今の美女たちの生涯を記し、その個性的価値を後世に伝える本作は、明治時代の女性美を軸に、時代とともに変遷する美の標準や女性の生き方を綴る。古来の伝統的な型を保ちつつも、自由思想の台頭により外形的な解放を宣言した現代女性の特質を分析する。同時に、横浜や東京を舞台に奔放に生きたかつての美女たちの華やかな生活と、その後の変転についても言及し、混沌とした時代の中で進化を模索する日本女性の美の表現を論じる。

長谷川時雨

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一

空の麗しさ、地の美しさ、万象の妙なる中に、あまりにいみじき人間美は永遠を誓えぬだけに、脆き命に激しき情熱の魂をこめて、たとえしもない刹那の美を感じさせる。

美は一切の道徳規矩を超越して、ひとり誇らかに生きる力を許されている。古来美女たちのその実際生活が、当時の人々からいかに罪され、蔑すまれ、下しめられたとしても、その事実は、すこしも彼女たちの個性的価値を抹殺する事は出来なかった。かえって伝説化された彼女らの面影は、永劫にわたって人間生活に夢と詩とを寄与している。

小さき夢想家であり、美の探求者であるわたしは、古今の美女のおもばせを慕ってもろもろの書史から、語草から、途上の邂逅からまで、かずかずの女人をさがしいだし、その女たちの生涯の片影を記しとどめ、折にふれて世の人に、紹介することを忘れなかった。美しき彼女たちの(小伝)は幾つかの巻となって世の中に読まれている。

そしてわたしの美女に対する細かしい観賞、きりきざんだ小論はそうした書にしるしておいた。ここには総論的な観方で現代女性を生んだ母の「明治美人」を記して見よう。

それに先だって、わたしは此処にすこしばかり、現代女性の美の特質を幾分書いて見なければならない。それはあまりに急激に、世の中の美人観が変ったからである。古来、各時期に、特殊な美人型があるのはいうまでもないが、「現代は驚異である」とある人がいったように、美人に対してもまたそういうことがいえる。

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