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TORENDIA

学生と生活

本文約16,700字 ・ 読了時間 約34分

あらすじ(AIが作成しました)

学びの道にある青年に向けて、理想主義の精神と愛のあり方を説く論考。学窓に身を置く者は、環境を憂うのではなく夢と理想を抱き、勉学に励むべきであるとする。恋愛は単なる余暇ではなく、学問への情熱と並んで熾烈なものであるべきであり、精神的向上心や善への憧憬と分かちがたく結びついていると論じる。著者は青年に対し、受動的な態度ではなく、真摯な情熱をもって対峙し、互いを高め合うような関係を築くための指針を示す。

倉田百三

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一 学窓への愛と恋愛

学生はひとつの志を立てて、学びの道にいそしんでいるものである。まず青雲を望み見るこころと、学窓への愛がその衷になければならぬ。近時ジャーナリストの喧声はややもすれば学園を軽んじるかに見える。しかし今日この国に必要なのはむしろ新しき、健やけきアカデミーの再建である。学生にして学窓への愛とほこりとを持たぬことは自ら軽んじるものである。もとより私といえども今日学生の社会的環境の何たるかを知らぬものではなく、その将来の見通しより来る憂鬱を解せぬものでもない。しかもそれにもかかわらず私は勧める。夢多く持て、若き日の感激を失うな。ものごとを物的に考えすぎるな。それは今の諸君の環境でも可能なことであると。私は学生への同情の形で、その平板と無感激とをジャスチファイせんとする多くの学生論、青年論の唯物的傾向を好まぬものだ。夢見ると夢見ぬとはその環境にあるのでなく、その素質にあるのだ。王子が必ずしも夢見はしない。が大工の息子もまた夢見る。如何なる時代にあっても青年が夢見なくなるということはあるまじきことであり、もしあるなら人類は衰亡に向かったものである。夢見る、理想主義の青年のみが健やかなる青年であり、次代を荷い、つくる青年なのである。

まして学窓にあるほどの青年が環境をつぶやいたりなどできるものであろうか? これに対してはクロポトキンの『青年への訴え』を読めと勧めるだけでつきている。学生諸君はむしろ好運に選ばれたる青年であり、その故に生命とヒューマニティーと、理想社会について想い、夢見、たたかいに準備する義務があるのである。

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