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TORENDIA

言葉の魅力[第一稿]

本文約5,400字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

言葉を人間の表情に近いものと捉え、その魅力や扱いについて論じる随筆。著者は、標準語の画一的な模倣がかえって品格を損なうと指摘する。地方の方言や個性を尊重しつつ、教養を通じて自分自身の言葉を磨き上げることの重要性を説く。言葉遣いや抑揚は話者の人柄や品位を反映するため、真実を美しく伝えるための礼節と信念を持つことこそが、現代における言葉の文化的魅力を向上させると結論づける。

岸田國士

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🎧 言葉の魅力[第一稿] / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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一

「言葉」といふものは、単に思想や感情を伝へる記号として、日常生活に欠くべからざるものであるばかりでなく、ある一人の使ふ「言葉」は、万人共通の意味をもつと同時に、その人に「固有にあるもの」を現はしてゐるのであつて、この点から見れば、それは人間の「表情」に近いものである。

従つて、語学的に、又は文法的に正しい言葉遣ひといふものもなければならぬが、一方、文学的に、又は感覚的に美しい言葉遣ひといふものも生じるわけである。

この研究は、専門的にはひつて行くと、なかなか複雑で、限られた紙数では論じ尽せないが、此処では、なるたけ「実用的」に、言葉について考へるべきことを述べておかうと思ふ。

先づ、「話される言葉」又は「語られる言葉」といふ範囲で、われわれは、生れてからどういふ教育を受けたらうか?

両親を中心とする家族のものから、先づ第一に「言葉」を教へられる。

次に年齢に応じて、境遇経験を異にする友達から、「言葉」を教へられる。

第三に、学校の教師から、所謂「標準語」として、実は「教師固有の言葉」を教へられる。

かうして、丁年に達する頃には、略、「その人の言葉」なるものが出来上るのであるが、その「出来上つた言葉」は、正しいか、美しいかといふ問題を別にして、大体、その人の「人柄」をそのまゝ写してゐるものだと云ひ得るのである。

この場合、方言とか訛とかは、その人の出身地を示すだけで、必ずしも「人柄」を現はすものではなく、「東京のもの」か「地方のものか」といふ区別は、なんら「言葉の値打」に関係はないのである。

さて、「言葉」が「人柄」を現はすといふ事実から、「言葉」に対する興味が動いて来るのは、どうしても、ある程度以上の年齢に達してからである。所謂社交らしいものがはじまり、都会に学ぶ機会を得、小説に読み耽り、自分の「心」まで鏡に映してみようといふ年頃である。

二

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