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TORENDIA

日本文化の特質

本文約19,900字 ・ 読了時間 約40分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の文化は、国土と歴史、大和民族の精神的結合が創り出す生存のすがたを指す。独自の直観力と綜合性を中軸とし、生活の様々な面で一貫した様式を発展させてきた。本書は、生活感情の豊かさや芸術における品格など、日本文化の特質を現代の視点から紐解き、日本人が直面する生活観や死生観の在り方、そして今後の飛躍に向けた国民の精神的姿勢を論じる。

岸田國士

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一

「文化」は国土と歴史との所産であります。言ひ換へれば、民族の血と運命とが創りあげる生存のすがたであります。民族とはこゝでは狭い意味の人種的差別を云々せず、精神的に結合した政治的統一体を指すこととし、やがては、国民の名に於て全く等質の文化圏に入るべき複合民族をも意味するものと考へたいのです。

ところで、日本の「文化」は、今日まで、いはゆる「大和民族」たるわれわれの祖先が、允文允武にまします歴代の天皇を御親とし奉り、世界を「家」となす遠大な理想をかゝげ、赤子たるの光栄と本分とを忠誠の臣節に籠めて、ひたすら国運の発展と「美しき」国風の充実に尽して来た、その結実なのであります。

時に暗雲が朝威を覆ひ、民心転た悄然たる時もありましたが、乱れゝば光り現れ、犯されゝば力湧き起る神の国の、昔も今も、皇運こそ天地とともに窮りなきを、われら固く信じてゐるのであります。

なによりも、日本の文化は、この揺ぎなき国体と歴聖相継がせ給ふ御遺訓の精神を中軸とし、大和民族独特の性情に根ざす天衣無縫の着想を、営々三千年に亘つて積み重ね、磨きあげた創作なのであります。

大陸文化の影響と云ひ、模倣と云ひ、その影響は消化であり、模倣は吸収であつた。文化が仮りに侵略の手を伸ばすものであるとしても、未だわが国は、現代に於ける一部表面的な現象を除いては、嘗て外来文化の侵略に委せたことはありません。

文化は高きより低きに流れるのが常とは云へ、文化の高さなるものは、これまでいろいろの標準によつて計られたのです。

一例を挙げれば、「技術文化」といふ言葉もあるとほり、技術、特に物を組織立て、合理化し、分析分化する技術の精粗、巧拙を以て文化の優劣を決しようとする見方があります。

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