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TORENDIA

春

本文約3,200字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

春の晴れた朝、野外で唱歌を歌う少年と少女は、自分たちの声を繰り返す山彦に困惑する。そこへ現れた吉野先生から山彦の仕組みを教わった二人は、山に向かって優しく話しかけ、山彦から優しい返答を受け取る。その後、猟人に追われて逃げてきた兎を匿った二人は、少年がとっさの機転で猟人を遠くへ追い払い、兎を救い出す。二人の勇気と親切によって危機を脱した兎は、観客に感謝の言葉を述べて物語は幕を閉じる。

竹久夢二

速度
🎧 春 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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時

ある春の晴れた朝

所

花咲ける丘

人物

少年   (十三歳位)

少女   (十一二歳)

先生   (小学教師)

猟人   (若き遊猟家)

兎    (十二三歳少女扮装)

舞台は、桜の花など咲いた野外が好ましいが、室内で装置する場合には、緑色の布を額縁として画り、地は、春の土を思わせるような、黄土色の布か、緋毛氈を敷きつめる。背景は、神経質な電気の反射を避けるため、空も山も花も草も、それぞれの色の布を貼りつけたものを用う。すべて舞台の装置も、演出も、神経的でなく、子供の本能と情操とが想像した、愛らしい朗かな春そのものの創造であること。

扮装は、少年少女は平常着のままでも好い、その他は子供の空想の産物で好いが、先生は威厳を損じない程度にのどかな人物であること、猟人はずんぐりしていて意気なあわてもの、兎はフランネルのマスクを被る。

[#改ページ]

第一景

幕があくと、舞台裏から左の唱歌が、だんだん近づき、舞台下手から少年少女が歌いながら登場。

さくら  さくら

やよいの そらは

みわたす かぎり

かすみか くもか

少年少女が登場すると、舞台裏でもその唱歌を少し遅らせて、山彦の心持で歌う。

少女「おや! 兄さん、誰か山の向うでも歌っていてよ」 少年「うそだよ、きっと夏ちゃんの空耳だろう」 少年歌いつづける。少女耳をすます。

においぞ  いずる

いざや  いざや

みに   ゆかん

少女「いいえ兄さん、よく聞いて御覧なさい……ほらね」 少年「ああ、ほんとだ、誰だろう」 少女「ね、兄さんもっと何か言って御覧なさい」 さくら   さくら

やよいの  そらは

少年歌いながら首を傾、舞台裏でも歌を真似る。

少年「誰だ!」 山彦「誰だ!」 少女おどおどと少年に寄添う。

少年「真似をするのは誰だい」 山彦「真似をするのは誰だい」 少女「兄さん、あたし怖くなったわ」 少年「怖かあないよ。誰かきっと悪戯をしているんだ」 少年勇敢に力みながら

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