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TORENDIA

幕末維新懐古談

本文約7,400字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

彫刻家である著者が、自身の木彫芸術の追求と衰退を挽回するために受け入れた数多くの弟子たちについて綴る。山崎朝雲の入門から、美術学校への進学を志す若者や個々の事情を抱える門弟たちとの交流、そして彼らの成長やその後を一人ずつ紹介する。厳しい修行を強いるのではなく、自由な方針で個々の気質や境遇に寄り添いながら、木彫の道を志す後進の指導を自身の重要な仕事として捉える師としてのあり方を回顧する。

高村光雲

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🎧 幕末維新懐古談 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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ここで、少し断わって置かねばならぬことは、こういう門弟たちのことは別段興味のある話しというではなく、また事実としても、いわば私事になって、特に何かの参考となることでもありませんから、深く立ち入り、管々しくなることは避けたいと思います。

それに、最早世を去った人などのことはとにかく、現存の人であって見れば、私と師弟関係があるだけ、毀誉褒貶の如何に関せずおもしろくないと思いますから、批評がましいことは避けます。それに、自分では、今思い出すままを、記憶に任せてお話することで、疎密繁閑取り取りですから、その辺はそのつもりでお聞き下さい。とにかく、私の覚え帳に名前の乗ってるだけの弟子の数も五、六十名に達することで、一わたり、ざっと話して置きましょう。

今度は山崎朝雲氏が入門された時分のことになります。朝雲氏は私の弟子となる以前に、もはや相当仕事が出来ていた人です。明治二十八年に京都で内国勧業博覧会が開かれた時、私は農商務省の方からは審査員を嘱托され、個人としては彫工会の役員として当会に出張したのでしたが、その時山崎氏の作は出品されていました。氏は福岡県博多の人で、同地よりの出品でした(米原氏も当時は安来に帰郷していて其所から軍鶏の彫刻を出品した)。山崎氏の作は養老の孝子でありましたが、地方からの出品としては、この作と、米原氏の軍鶏とが出色でした(いずれも三等賞を得た)。私は審査員として山崎氏の作を見た時、なかなか傑作であるが、惜しいことには素人離れがしておらぬ。つまり、道具の拵え方が鈍くて、水ばなれがしないので、何んとなく眠たい感がある。これが惜しいと思いました。これは地方の作家のことでやむをえないが、今一応その道の門をくぐったらさらに確かなものになるであろうと思ったことでした。

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