本文へ移動
TORENDIA

形容詞の論

本文約22,300字 ・ 読了時間 約45分

あらすじ(AIが作成しました)

言語心理学の観点から文章論を捉え、文法研究のあり方を論じる。著者は形容詞の語尾「し」に注目し、その発生を追究することで日本文章組織の成立を解明しようと試みる。古文献の用例や記紀歌謡を精査しながら、語根と接尾語の関係や、過去の助動詞、枕詞、さらには呪詞的な表現である「じもの」等の分析を通じて、「し」が持つ役割の変遷やその背後にある古代的な信仰・意識について考察を深めていく。

折口信夫

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 31

文法上に於ける文章論は、非常に輝かしい為事の様に見られてゐる。其が、美しい関聯を持つて居る点に於いて、恰、文法の哲学とでも言ふ様に、意味深く見られてゐるやうだ。私は常に思ふ。文章論は言語心理学の領分に入れるべきもので、文法から解放せられなければならない。文法は結局、形式論に初つて形式論に終る事を、覚悟してかゝらなければならないのである。総ての学問のうちに、最実証的でなければならぬ筈の文法にして、而も精神分析に似た傾きを持ち、その過程に於いて理論的の遊戯に堕するものが殖えて来たのも、この文章論の態度が総てに及ぶからだと言ふのである。此処にかうした平生の考への一端を漏すのは、外ではない。単語の組織の研究が、結局は文章の体制に就いての根本的な理会を与へるものだ、と思ふからである。

形容詞の発生を追及して行く事は、同時に、日本文章組織の或一面の成立を暗示する事になるだらうと考へるのだ。国語に於ける所謂、形容詞の生命を扼するものは、その語尾なる「し」である。

かなし妹  めぐし子

くはし女  うまし国

かたし磐  まぐはし児ろ

とほ/″\し高志の国

うらぐはし山(?浦妙山)

折口信夫の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本