少年探偵 呉田博士と与一
本文約5,600字 ・ 読了時間 約12分
あらすじ(AIが作成しました)
ある町で幼児が立て続けに行方不明になる事件が発生する。警察が呉田博士宅の不良少年を疑う中、警官の息子である秀才の少年・与一は、博士が執筆した論文の矛盾点や自宅周辺の不自然な状況から独自の推論を組み立てる。与一は博士が科学的な実験のために子供たちを監禁していたことを見抜き、見事に事件を解決へ導く。この功績により、与一は探偵としての第一歩を踏み出し、後に多勢の部下を抱える優秀な探偵として活躍することになる。
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第一夜
「お父さん、今日は何か変わったことがあったかい?」
「また、六つになる子供がさらわれちゃったよ。これで去年から三度目だ。お前なんかも用心せんと危ないよ。今日さらわれたのは、お前が行ってる学校の正門の筋向かいの文房具屋の子供なんだよ」
「馬鹿にしていらあ、僕なんかもう中学の三年じゃないか、もう二ヶ月もたったら四年で、来年は高等学校へはいるんじゃないか。だけれど、ほんとうに、あの文房具屋の子供がさらわれちゃったのかい? あの子は録ちゃんといってね、可愛い子だったよ」
「ほんとうだとも、明日の新聞にはまた大きくでるよ。係りの者は今ごろまだてんてこまいで忙しがってる時分だ」
「やっぱり警察じゃまだわからんのだねえ。警官なんてみな木隅の坊ばっかりだね。今度で三度目じゃないか、しかも、同じ町内で同じような事件が三度も起こっているのに、それで目星がつかんなんて。僕もちっと犯罪学の勉強でもして、警察に教えてやりたいな。歯がゆくってしょうがないもの」
「ところが、今度は犯人はわかってるんだよ。まだつかまらないが明日までにはつかまるにきまってるんだ」
「へえ、そりゃえらいね、犯人は誰だっていうの?」
「あの文房具屋から四軒目のところに、そうだ、お前の学校の物理学教室の真ん向かいにあたるところだ、あそこに大きなお邸があるだろう?」
「うん、あるある。あれは呉田博士の家だね。こないだ学校で、お話をきいたことがあるよ。不良少年の話をね。中々えらい先生だよ。いま不良少年を一人養って感化しているんだってねえ?」
「その不良少年がやっぱり、今日行方不明になったっていうんだよ。それで、てっきりそいつが、あの子供を誘拐したんだと警察では目星をつけたわけなんだよ」
「そういえば、今日物理の時間がはじまる前にね、その不良少年らしい男が呉田博士の家から走って出ていったのを見たものがあるんだよ。ほら、いつか家へ遊びにきた志村君ね。あの男がそう言ってたよ」
「え、そりゃ大変なことをきいたね。でその不良少年は文房具屋の子供をつれて出たんかい?」