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TORENDIA

芙蓉の花にも似た美しい楊貴妃を

本文約510字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

湯上がりの楊貴妃が勾欄に凭れて花園を望む姿を、気品高く描く新作画の構想を綴る。白楽天の長恨歌に抱く深い懐かしみを背景に、天平・奈良朝時代の衣装や調度を参考にしつつ、自身の展覧会出品作として絹地に全身像を制作する過程を詳述する。湯上がりの美しい肌や侍女の配置など、細部にわたる描写のこだわりと思索を述べる。

上村松園

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🎧 芙蓉の花にも似た美しい楊貴妃を / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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帝展の方も大分出品しなかったので今年は思い立って……それも近頃取りかかったばかりで明日辺りから墨を当てようかというところなのです。画題は〈楊貴妃〉それもあの湯上りの美しい肌を柔らかな羅に包んで勾欄に凭れながら夢殿の花園を望んで見ると言った構図で、尤も湯上りと言いますと何だか意気に、そうしてやや下品な様に聞こえますがそうではなく極気品の高いものにして全体羅の中に玉の様な肩先から白い胸の辺り少し湯上りのぽっと紅潮した皮膚が見えて居ると言った風で……傍には侍女が一人います。

詩集はかなり繙きましたが白楽天のは殊に愛誦して居りましたし中でもこの長恨歌には深い懐かしみを持って居りました。何時か一度はそれを描いてみたいと思って居りましたが、この夏大阪で開かれた展覧会に楊貴妃の半身を描いたのが今度全身の絵として出品する事になったのです。大きさは二枚折の少し大きな位で絹地を用います。

楊貴妃の服装についてはこの間中博物館へ通っていろいろ古い参考品を出して頂いて見て来ました。日本で申せば天平から奈良朝、あの時代の衣装や調度建築の様式で行く考えです。猶詩には春寒とありますがこれは夏の時候に改めるつもりです。

(大正十二年)

完

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