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TORENDIA

高野豆腐

本文約1,200字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

高野豆腐の選び方や、重曹を用いた戻し方、適切な絞り方を論じる。凍結と乾燥の過程で品質が決まるため、用途に応じた硬さの選択が重要となる。本来は秘伝とされるほど調理が難しく、専門の料理店でも扱いには手際を要する。かつて高野山の寒気を利用して作られた歴史を持つ食材について、質を見極める経験や、調理における丁寧な心構えが必要であることを詳述し、近年の製法の進歩による調理環境の変化についても触れる。

北大路魯山人

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🎧 高野豆腐 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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これにもよい悪いがずいぶんあるからご注意願いたい。悪いのは、凍らして乾かす時の不出来に由来し、いざというときに固くてものにならないのや、やわらかすぎていけないものなどである。

どのくらいの固さがよいかはむずかしい問題で、固いのになるとカスカスしている。反対にやわらかいのは、もとの豆腐にかえるのもある。カスカスがよいというひとも、やわらかいのがよいというひともある。これは各人の好みによってきめるのが最良で、強いて評価するなら、その中間がいちばんよろしいといえよう。

五目寿司には少しカスカスした高野豆腐でないと使い甲斐がないから、割合に固めのものを用いるように。

普通の高野豆腐のもどし方は、鍋などに入れて重曹をばらまき、落とし蓋をして、重しを入れ、豆腐の下の方から湯がまわるように熱湯をそそぐ。すると底から温かくなり、しばらくすれば一体にやわらかくなる。

重曹のばらまき方は、豆腐の四方八方、裏表平均に薄くつけるので、ただ熱湯をかけたのでは角のところがうまくやわらかくならないから、四方八方にていねいに重曹をすりこむことを忘れてはならない。しかし、重曹をたくさん入れると、まったく元の豆腐になってしまうから、中間だけが少しカスカスした程度の固さが適当だろう。

そして炭酸が味の邪魔をしてはまずいから、潰れないように手際よく、高野豆腐を水の中に入れて、グーッと絞る。潰れてグチャグチャになったりしては体裁も悪いし味も悪いから、こわれぬように注意することが肝要である。絞り方はちょうど海綿を絞るような具合にすればよい。やわらかいものであればあるほど手際を要するから、やわらかいものの時には注意の上に注意をして絞り出すようにしなくてはならない。炭酸の気のなくなるまで絞らねばならないのだから、少なくとも五、六回は繰り返して絞る必要がある。

高野豆腐のもどし方はむずかしく、一種の秘伝みたいになっていて、玄人でもやすやすできないことを念頭においておく必要があろう。そんなことはなんでもないと思っても、なかなかうまくゆかないもので、京阪の特別料理をつくる料理屋でもうまくゆかないあり様である。たまに名人がある程度だ。

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