TORENDIA
椎茸の話
北大路魯山人
TORENDIA
椎茸の話
本文約570字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
各地で語られるお国自慢を例に、生椎茸の鮮度の重要性を説く。大分県産の椎茸は、本物の椎の木から採れるため、香りや味が優れていると評価する。一方、関東で流通する櫟の木から採れる椎茸は、噛みごたえはあるものの香りには欠けると論じる。椎の木にできた椎茸に勝るものはないという独自の食の見解を綴る。
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🎧 椎茸の話 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏
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どこの国、いずこの地方に行ってもお国自慢というものがある。歴史、人物、料理、産物など、時に応じ、人によってお国自慢の仕方も違う。生椎茸を例にとるなら、やはり例外でなく、京都の人は「京都の生椎茸はどんなもんだい」と誇りがましくいうし、地方の人も「お国の山の椎茸は必ずしも京都に劣らぬ」と負けてはいない。生椎茸にかぎらず、他のどんな産物でも、時間を少しでも経過したものはそれだけまずくてだめだ。お国自慢をする人は、それぞれみな採りたてを食べているから、古いのと比べてみて、そういうのだろう。どんな椎茸でも古くなってはだめで、新しいものでなければいけない。
しかし、そうはいっても、大分県あたりで採れる椎茸は実に見事で、日本一と叫んでもいいだろう。大分の椎茸は本当の椎の木にできた椎茸なので、かさが黒くなめらかで、香りや味がすばらしい。関東で賞味している椎茸は、実は椎の木にできたものではなく、櫟の木にできたものだから本当にうまいとはいえない。椎茸のかさは、そのできる木の皮に似る性質があるので、櫟の木にできた椎茸のかさは櫟の皮と同じようになっており、椎の木にできた椎茸は椎の皮に似ている。
さて、櫟椎茸だが、これは噛みごたえがあるという特徴はあるけれども、椎の木にできた椎茸のように香りがない。所詮、椎の木にできた椎茸にまさるものなしといえよう。
完
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