TRENDIA CLASSIC

胎内

三好十郎

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暗い。

右手の奥のほうに一ヵ所かすかに明るいところがある。

遠くでかみなりが鳴っている。雨もふっているらしい。それらの音が、ここにこもって、低い反響をおこしている。

…………………

ながいことたってから、かすかに明るいへんの、さらに奥のあたりで人のケハイと足音。それから、にぶいドシンという音がする。その方から、とぎれとぎれの人声。

男の声 うんと!……(イキンでいる)ちきしょう! この……! 女の声 どうするの? え?……どうなさるのよ? 男の声 うん、いや……(ドシンと音)こうして、しまるはずなんだ。ここんとこを、こうすれば…… 女の声 だって、しめたりしないでも、いいじゃないの。 男の声 ふん。……この、ワクやなんかが、すこし腐っちまった、ふん。……(またドシンという音) (声がフッととだえる……間)

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