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TORENDIA

胎内

本文約67,200字 ・ 読了時間 約135分

あらすじ(AIが作成しました)

戦争中に掘られた山中の防空壕で、男と女が身を寄せ合い対立する。男は収賄容疑の関与から逃亡の途上にあり、女はその共犯関係にある相手への複雑な感情を吐露する。暗闇の中で、二人は過去の悪行や愛憎を激しくぶつけ合い、追っ手の影に怯えながら、追い詰められた極限状態で人間としての生と尊厳を見出そうとする。本作は、戦後の混沌とした社会で獣のように生きる男女が、絶望的な状況下で互いの業と愛情を確かめ合う姿を描く。

三好十郎

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一

暗い。

右手の奥のほうに一ヵ所かすかに明るいところがある。

遠くでかみなりが鳴っている。雨もふっているらしい。それらの音が、ここにこもって、低い反響をおこしている。

…………………

ながいことたってから、かすかに明るいへんの、さらに奥のあたりで人のケハイと足音。それから、にぶいドシンという音がする。その方から、とぎれとぎれの人声。

男の声 うんと!……(イキンでいる)ちきしょう! この……! 女の声 どうするの? え?……どうなさるのよ? 男の声 うん、いや……(ドシンと音)こうして、しまるはずなんだ。ここんとこを、こうすれば…… 女の声 だって、しめたりしないでも、いいじゃないの。 男の声 ふん。……この、ワクやなんかが、すこし腐っちまった、ふん。……(またドシンという音) (声がフッととだえる……間)

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