TORENDIA
唱歌
石川啄木
TORENDIA
唱歌
本文約460字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
岩手山の麓にある渋民尋常小学校を舞台に、学び舎で育まれる友情や学問への志を綴る。校友歌では、教え導く師のもとで切磋琢磨する児童たちの連帯と、土地の秀麗な自然に触れながら理想を掲げる姿を描く。卒業式を題材とした歌では、北上の流れや校舎で過ごした歳月を振り返り、希望を胸に新たな旅路へ向かう若き心たちの別れと旅立ちを詠む。
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校友歌
澁民尋常小學校生徒のために。
丙午七月一日作歌。
一
文の林の淺緑
樹影しづけきこの庭に
桂の庵の露むすび
惠みの星を迎ぎ見て
春また春といそしめば
心の枝も若芽すも。
二
芽ぐめる枝に水そそぎ
また培ふや朝夕に
父母のなさけを身にしめて
螢雪の苦をつみゆかば
智慧の木の實の味甘き
常世の苑も遠からじ。
三
導びく人の温かき
み手にひかれて睦み合ふ
我が三百の兄弟よ
木枯ふけど雪ふれど
きえぬ學びの燈の
光を永久に守らまし。
四
雪をいただく岩手山
名さへ優しき姫神の
山の間を流れゆく
千古の水の北上に
心を洗ひ筆洗ふ
この樂しみを誰か知る。
五
山は秀でて水清く
秀麗の氣をあつめたる
このみちのくの澁民の
母校の友よいざさらば
文の林の奧深く
理想の旗を推し立てむ。
[#改ページ]
別れ
澁民小學校卒業式に歌へる。
譜「荒城の月」に同じ。
一
心は高し岩手山
思ひは長し北上や
こゝ澁民の學舍に
むつびし年の重りて
二
梅こそ咲かね風かほる
彌生二十日の春の晝
若き心の歌ごゑに
わかれのむしろ興たけぬ
三
あゝわが友よいざさらば
希望の海に帆をあげよ
思ひはつきぬ今日の日の
つどひを永久の思ひ出に
(明治四十年三月作)
完
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