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TORENDIA

どこかに生きながら

本文約4,400字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

宿なしの母ねこと子ねこは、人間から追われながらも屋根の上で寄り添い、懸命に生き抜く。二匹は近隣の少女から餌をもらうようになり、やがて子ねこは少女たちに引き取られる。温かな暮らしを手に入れた子ねこだったが、母ねこの姿は消えていた。ある荒れた夜、子ねこは母を求めて外へ飛び出し、凍てつく風の中でかつて共に過ごした温かな日々を想いながら、闇夜に向けて鳴き声を響かせ続ける。

小川未明

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🎧 どこかに生きながら / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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子ねこは、彼が生まれる前の、母ねこの生活を知ることはできなかったけれど、物心がつくと宿なしの身であって、方々を追われ、人間からいじめつづけられたのでした。母ねこは、子供をある家の破れた物置のすみへ産み落としました。ここで幾日か過ごすうちに、子ねこは、やっと目が見えるようになりました。そして、母親の帰りがおそいと、空き箱の中から、明るみのある方を向いて、しきりとなくのでした。もし母ねこが、その声をききつけようものなら、急いで走ってきました。そして、箱へ飛び込むや否や、子供に乳房をふくませたのであります。

しかし、ここも安住の場所でなかったのは、とつぜん物置へきた主人が見つけて、大いに怒り、

「いつ、こんなところへ、巣を造ったか。さあ、早く出てうせろ!」と、ほうきで、たたき出そうと、追いたてたからでした。あわれな母ねこは、あわてながら、かわいい子供をくわえて、逃げ出すより途がなかったのです。空き地をぬけ、林のある方へと、いきました。

そこには、小さな祠があって、その縁の下なら、安全と思ったのでしょう。けれどそこは湿気にみち、いたるところ、くもの巣が、かかっていました。それだけでなく、野良犬の隠れ場所でもあるのを気づくと、また、そこを一刻も早く去るのをちゅうちょしませんでした。母ねこは、べつに心当たりもなかったから、子供を口にぶらさげたままふたたび町の方へ引っ返したのです。

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