TORENDIA
〔同腹異腹〕
牧野信一
TORENDIA
〔同腹異腹〕
本文約460字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
わずか一枚の原稿すら書けずに苦しみながら、自分を殴りたくなるほど嘆きつつも憎めない自分を許してほしいと訴える牧野信一の自嘲的な一文。
速度
🎧 〔同腹異腹〕 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 1
僅々一枚か二枚の六号どうしても書けない、書けないといふ事を誇張するわけではない。書く事はいくらでもあるやうで、憤懣や希望や喜悦や悲哀は少なからず持つてゐるやうだが、それが事実余りに強く余りに見苦しいもののやうな感じさへして、書き度くないと思ふ。他人のそでにすがつても訴へ度い悲しみや……は感じてゐるけれども、「いざ云はう」となると「云つたつて仕様がない」と思つてしまふ、とつひ悲しい戯談気が出て全然取るに足りない事などを云つてしまふ様になる、と云つて心の儘を云ふべく余りに自信のない事だ。――などと云つてゐる中にいつの間にか長たらしい文句を書いてゐるやうになる。憎い奴だと云ふ気が起つて、殴つてやらうか、とまで思ふと同時に、堪らなく可愛くもなつて来る、嘘の云へない自分は自分だけで愛さう、と定めて定り切つた慰め(?)をいふやうになつて来る。
今日は六号を書かなければならぬといふ約束だつたのがペンを取つたには違ひなかつた、これを書く事を苦しいとは思はなかつたが、なさけないことを書いてしまつた、親愛なる諸兄よ許して呉れ。
完
牧野信一の他の作品
TORENDIA
池のまはり
牧野信一
池のまはり
牧野信一
TORENDIA
妄想患者
牧野信一
妄想患者
牧野信一
TORENDIA
眠い一日
牧野信一
眠い一日
牧野信一
TORENDIA
熱海へ
牧野信一
熱海へ
牧野信一
TORENDIA
城ヶ島の春
牧野信一
城ヶ島の春
牧野信一 ・ 約11分
TORENDIA
緑の軍港
牧野信一
緑の軍港
牧野信一 ・ 約10分
TORENDIA
余話
牧野信一
余話
牧野信一 ・ 約6分
TORENDIA
「風博士」
牧野信一
「風博士」
牧野信一 ・ 約2分
TORENDIA
西部劇通信
牧野信一
西部劇通信
牧野信一 ・ 約15分
TORENDIA
センチメンタル
・ドライヴ
牧野信一
センチメンタル・ドライヴ
牧野信一 ・ 約9分
TORENDIA
熱い砂の上
牧野信一
熱い砂の上
牧野信一 ・ 約8分
TORENDIA
駆ける朝
牧野信一
駆ける朝
牧野信一 ・ 約15分