本文へ移動
TORENDIA

近時詩壇寸感

本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

詩論の執筆を依頼された詩人が、自身の詩に対する考えや当時の詩壇の動向を綴る。詩論の無益さを感じつつも、心に残る芸術論を挙げて超現実派の努力に言及する。同時に、詩が人間の意識を脱却し器械的になることへの懸念を抱き、芸術作品には生きた人間の気配が不可欠であると説く。さらに、定型無定型論や音への執着といった抽象的な技巧論を批判し、詩人たちが互いに本音を語り合える具体的な議論の場を設けることこそが詩壇の急務であると論じる。

中原中也

速度
🎧 近時詩壇寸感 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 3

詩論か何かさういつた風のものを書けと云はれるたびに、書くことはいくらでもあるやうな気持と、書くことは何にもないやうな気持に襲はれます。さて暫く案じた揚句、大抵はお断りすることとなるのでありますが、今もよつぽどお断りしようかと思つた所でありました。

人によつて色々異ることと思ひますが、私は詩に就いては自分に分るやうにだけは考へますが、それを人に分らせようとするや大変骨が折れます。而も骨を折つた結果は、大抵の場合自分は気拙くなり、相手には殆んど役に立たないやうな次第です。これは、一つには私が今迄に、詩人である人と余りおつきあひして来なかつたといふことに過ぎないのかも知れません。もし相手がやはり詩人である場合は、随分容易に話が通じ、又互ひに利するのかも知れませんが、今の所私は、詩論といふものは殆んど無益だと諦め切つてゐる有様です。

中原中也の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本