魔法人形
本文約71,600字 ・ 読了時間 約144分
あらすじ(AIが作成しました)
公園で白ひげの老人と出会った宮本ミドリと甲野ルミは、腹話術で動く人形のジャックと触れ合う。老人から人形師だと聞いたルミは、彼が作る人形に魅了される。その後、夜中に進一が歩く人形に遭遇し、一方では明智探偵が怪盗二十面相の計画を阻止する物語。本作は精巧な機械人形の不気味さと、探偵が怪盗の隠れ家で知略を尽くして対決する様子を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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腹話術
小学校六年生の宮本ミドリちゃんと、五年生の甲野ルミちゃんとが、学校の帰りに手をひきあって、赤坂見附の近くの公園にはいっていきました。その公園は、学校とふたりの家とのまん中ほどにある、千平方メートルぐらいの小さな公園で、みどりの林にかこまれ、三分の二は芝生、三分の一は砂場になっていて、砂場のほうには、ぶらんこやすべり台、芝生のまわりには、屋根のあるやすみ場所や、ベンチなどがあります。
いつもは、ぶらんこやすべり台で、たくさん子どもが遊んでいるのですが、その日はどうしたわけか、ひとりも子どもの姿が見えません。芝生のほうもがらんとしてだれもいないのです。
「まあ、さびしいわねえ。きょうはどうしたんでしょう?」
ミドリちゃんが、ふしぎそうにいいました。ミドリちゃんはからだも大きく、ふっくらした顔の色つやがよくて、快活な、しっかりした子でした。
「でも、あそこにふたりいるわ。おじいさんと、小さな子どもと……。」
ルミちゃんが、そのほうを指さしました。
ルミちゃんは、ミドリちゃんにくらべると、ずっと小がらで、人形のようにかわいい顔をしていました。
「あら、ほんと。あんなすみっこにいるもんだから、気がつかなかった。あのおじいさん、すばらしいひげね。」
なんだかやさしそうなおじいさんなので、ふたりは、つい、そのほうへ近づいていきました。
大きな木の下のベンチに、みごとな白ひげを、胸にたらしたおじいさんが、ちょこんと腰かけていました。灰色の背広をきて、小さな鳥うち帽をかぶっています。その鳥うち帽の下から、まっ白な毛がふさふさとたれ、まゆも口ひげも、長いあごひげも、みんなまっ白です。
そのおじいさんの膝に、五つか六つぐらいの、かわいい男の子が腰かけています。その子は、あらいこうしじまの背広に、同じがらの鳥うち帽を、かぶっていました。ほおがリンゴのように赤くて、大きな黒い目をくりくり動かしています。
ふたりの少女が、手をつないで近よってくるのを見ると、白ひげのおじいさんは、にっこり笑いました。黒いふちのめがねの中から、ほそい目が、やさしそうに光っています。