ウォーレン夫人とその娘
本文約4,000字 ・ 読了時間 約9分
あらすじ(AIが作成しました)
寄宿生活で情的教育を受けられずに育った冷静な娘ヴヰヴイと、その母親であるウォーレン夫人の相克を描く。幼少期に引き離され、親の愛情を知らぬまま育った娘は、母の職業や生き方に対して苛酷な態度をとる。一方で、貧困から身を立て、娘の教育のために自らを律してきた母の姿を通し、著者は教育の在り方や、社会的な弱者である婦人が生き抜くための職業的選択という重い社会問題を提示する。
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脚本を読んで見て私は殆んど手の出しやうのないのに驚いてしまつた。とても自分の貧弱な頭ではそれ/″\に立派な解釈をつけて批評して行くことは六ヶしい、と云つてやらないわけにも行かないし困つた/\と云ひ暮しても其日数もなくなつてしまつた。
「あんまり六ヶしく考へすぎるんだよ」といふ様な注意を傍らで聞くとなほイラ/\して来てどうしても纏めることが出来ない。もう〆切の日は少しの余裕もなく迫つてゐる。とても正式の批評などは出来さうもない。私は自分で考へついたことだけを書いてこの責任をのがれようと思ふ。大変いけないことかもしれないけれども今の場合仕方がないとしておきたい。
一番主として考へなければならないのはヴイ※[#濁点付き井、47-9]イが母の職業に対する理解だと思ふ。
ヴイ※[#濁点付き井、47-10]イは悧巧な冷静な理解力をもつた自信の強い女である。だが情熱とか優しみとか云ふ方には欠けてゐる。凡て、何を考へるにもやるにも感情を交へないと云ふ処が普通の女と甚だしく懸け離れてゐる点である。彼女は美もローマンスも不必要だと云つてゐる。彼女はその母親に対しても本当の親しみやなつかしみを持ち得ない。フランクに対する感情も恋とは云ひにくい。若い女の男に対してもつ情熱的な恋とはよほど違つたものである。
これは彼女が幼い時から母の傍を離れて寄宿生活をして来た結果だ。彼女は幼い時から当然受くべき両親のやさしい愛をうけることが出来なかつた。彼女は第一に親の愛を知る時期がなかつた。第二に彼女は寄宿生活に万事少しの和か味もない定規で造り上げられた四角四面な規則で生活した。理屈ばかりの生活をしたことが原因してゐる。つまり彼女は当然受くべき情的教育を受ける機会なしに智的方面にまた意的方面にばかりのびていつたのだ。あやまつた教育が彼女のやうな人間を造り上げたのだ。