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TORENDIA

日本婦道記

本文約11,100字 ・ 読了時間 約23分

あらすじ(AIが作成しました)

会津蒲生家の浪人・新沼靱負は、主家の改易と家族の相次ぐ死という不幸に見舞われる。幼い息子を抱え困窮する中、一家に仕える婢・おかやは、主人から暇を言い渡されることを拒み、奇行の果てに唖者となり新沼家への奉公を貫く。松山へ移住し月日が流れる中、成長した息子と靱負は、おかやが長年隠し通してきた衝撃の事実に直面し、その深い献身と引き換えにした壮絶な覚悟の裏側を目の当たりにする。

山本周五郎

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一

「いやそうではない」新沼靱負はしずかに首を振った、「……おかやに過失があったとか、役に立たぬなどというわけでは決してない、事情さえ許せばいて貰いたいのだ。隠さずに云えばいま出てゆかれてはこちらで困るくらいなのだから」

「それでお暇が出るというのはどういうわけでございましょうか」律義に坐った膝をいっそう固くしながら多助はこう云った、「……あちらで今よく話してみたのですが妹はただ泣くばかりで、悪い処はどのようにも直して御奉公します、お暇だけはどうか勘弁して頂けますように、兄さんからもお詫を申上げて下さい、こう申しまして、どうしても家へは帰らぬと云い張っているのでございます」

「仔細はよく話したのだ、然しまるで聞分けがないので其方に来て貰ったのだが、実はこんど此処をひき払って伊予の松山へ参ることになったのだ」

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