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TORENDIA

「麻布襍記」叙

本文約330字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

麻布に移り住んでから五年の間に、師と友を相次いで失い、衰えゆく身を嘆きながらも、出版社の勧めでこの一集をまとめるに至った経緯を記す永井荷風の序文。

永井荷風

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🎧 「麻布襍記」叙 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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麻布襍記収むるところの小説雑録随筆のたぐい皆そのおりおり月刊文学雑誌の嘱を受けて一時の責を塞ぎしものに過ぎず。五とせ以前築地より麻布に移りすみてここに筆をとりしもの多ければかくは名づけたるなり。思えば麻布に移りてよりこの五とせが間には悲しきことの多かりき。厳師森夫子は千朶山房に簀を易えたまい又莫逆の友九穂井上君は飄然として道山に帰りぬ。爾来われは教を請うべき師長もなくまた歓び語るべき伴侶もなし。衰病の孤身うたた寂寞のおもいに堪えやらず文筆の興も従って亦日に日に索然たり。されば復び拙著を刊行する心もあらざりしが春陽書楼の主人震災の後頻に訪来りてすすむるものから遂にこばみがたく拙劣の一集またここに成るを見たり。大正十三年甲子の歳仲夏荷風病客麻布窮巷の陋居にしるす。

完

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