低温科學と國鐵
本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
日本の低温科学の進歩における鉄道当局の寄与を論じる。信越地方の雪崩や北陸、東北の除雪、北海道の凍上、電線着雪など、鉄道運営上の課題に対して研究が主導された経緯を詳述する。特に凍上の機巧解明や着雪現象の分析について、国内外の研究動向を比較しながら、その成果と実用化の過程を振り返る。学問的知見が鉄道の現場でいかに応用され、解決へと導かれたのかを考察し、産業の発展と低温科学の密接な関係を明らかにする。
💰 この本を応援する(投げ銭)
日本の低温科學は、外國がそう熱心にやっていないという理由によって、現在のところは、比較的進歩した側に立っている。この方面の日本の學問が、世界の中で或る程度の門戸を張って居られるのは、その蔭に、鐵道當局の援助が、相當有力な背景をなしている。
雪や寒氣に對しては、鐵道は、昔から強い關心をもっていた。信越地方に於ける雪崩の問題、北陸、東北の全線に課せられた除雪の問題、北海道の凍上の問題、それに近年は電線着雪の問題など、皆、鐵道當局が、イニシアチイヴをとって、研究を開始したものである。
凍上については、札幌鐵道局が音頭をとって、五カ年計畫を立てて、基本的な面から、この問題と、とり組むことになった。偶々戰時下にあった滿鐵が、同じ問題で惱んでいたので、その兩者からの依頼もあって、かなり大仕掛けの研究が爲された。その結果、凍上の機巧が一應判明し、その對策についても、原則的の案は立った。といっても、何か一寸おまじない的な祕法を施せば、凍上がぴたりと止まるという方法が見附かったわけではない。排水と、路盤の改良とを、漸進的に進めるという、常識的な方法である。この分り切った話は、北海道の各所で、地道に實施され、凍上の問題は、漸次解決されつつある。
アメリカの凍上對策も、原則は同じであるが、何といっても、金のある國だけに、十分に安全度をとって、路盤の改良などをやっている。アメリカでは、鐵道よりも、自動車道路の方が遙かに重大な問題である。戰爭中に、シアトルの附近から加奈陀の太平洋岸を通って、アラスカまでいわゆるアラスカ公路を、短日月のうちに作り上げ、大いに土木能力を誇ったのである。しかしこの道路は、一冬の凍害で、大部分こわされてしまったという噂もある。