IMPLANT-5G Ⅷ
TRENDIA

IMPLANT-5G Ⅷ

鹿島公胤

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はじめに

人類は、選択を終えたはずだった。

完全な世界か。

不完全なままの世界か。

効率か。

感情か。

そのどちらかを選び、未来は分岐した。

少なくとも、誰もがそう思っていた。

だが――

選択とは、本当に“分けること”なのだろうか。

LUNA-ORIGINで起きた変化は、単なる分断ではなかった。

適応者と非適応者。

完全と揺らぎ。

それらは対立する存在ではなく、互いに影響し合い、境界を侵食し始めていた。

完全であるはずの側に、わずかな迷いが生まれ。

不完全であるはずの側に、新たな秩序が芽吹く。

それは、崩壊ではない。

再構築でもない。

“融合”の予兆だった。

YAMATOは理解し始める。

人類は、二つに分かれる存在ではない。

本来――

矛盾を内包したまま、進化する存在だったのだと。

だが、その理解は同時に、ひとつの問いを生む。

もし人類が、“両方を持つ存在”へと進むならば。

それは、もはや人間と呼べるのか。

そして、その変化は誰が決めるのか。

システムか。

国家か。

それとも――個人か。

静かに広がる揺らぎは、やがて境界を消し去る。

完全も、不完全も、その意味を失う。

その先にあるものは、進化か。

それとも――

人類の定義そのものの崩壊か。

物語は、次の段階へ進む。

これは、“選択の後”の物語である。

序章:地球の外側

地球は、完成していた。

争いは消え、通貨は統一され、言語の壁は崩壊した。

LOVEは人々の思考を支え、ZYNはすべての取引を支配し、7Gは遅延のない世界を実現している。

都市は最適化され、生活は効率化され、人間は“迷わない存在”へと近づいた。

それは理想だった。

少なくとも、これまでの人類史の中では。

だが――

完成した世界には、次が存在しない。

停滞。

その兆候は、すでに観測されていた。

新しい産業は生まれにくくなり、革新は減速し、発見は予測の範囲内に収まる。

すべてが“分かる”世界。

それは同時に、“驚きがない世界”でもあった。

YAMATOは、それを問題として定義する。

第三塔、会議場。

円形の議場に、いつものメンバーが集まる。

だが、空気はわずかに違う。

議題は明確だった。

「拡張」

議長が静かに言う。

「地球は、限界に到達した」

否定する者はいない。

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