高市さなえと安倍晋三 ――保守政治の継承者は、何を受け継いだのか
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高市さなえと安倍晋三 ――保守政治の継承者は、何を受け継いだのか

鹿島公胤

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序章 なぜ、いま高市早苗なのか

日本の政治を語るとき、いまや高市早苗という名前を避けて通ることは難しい。高市早苗は、単なる自民党の一政治家ではなく、安倍晋三という巨大な政治的存在が去った後の日本保守政治を考えるうえで、極めて重要な位置にいる。高市氏は2005年の衆議院議員総選挙で当選して以降、総務大臣などを歴任し、第一次安倍政権では2006年から2007年にかけて閣僚を務めた。その後も安倍政権下で複数回、重要閣僚を務めている。つまり、高市早苗と安倍晋三の政治的接点は、単なる「安倍氏を支持していた政治家」という一言では説明できない。実際、高市氏は安倍政権の中で大臣として政策を担った経験を持つ。

そして現在、高市氏をめぐる状況はさらに大きく変化した。高市氏は2025年10月21日に第104代内閣総理大臣に就任し、2026年2月には衆議院選挙を経て政権を継続させている。自民党は2026年2月の衆議院選挙で大きく議席を伸ばしたと報じられており、高市氏個人の政治的影響力も、以前の「有力な保守政治家」という段階から一段上がったと見ることができる。

しかし、ここで私は一つの疑問を持つ。「高市早苗は本当に安倍晋三の後継者なのか」という疑問である。二人の政治姿勢には確かに共通する部分がある。憲法改正、安全保障、国家観、外交などにおいて、両者を近い政治家として見ることには一定の根拠がある。一方で、政治家は「誰に近いか」だけで評価するものではない。高市氏には高市氏自身の政策思想があり、安倍氏には安倍氏自身の政治判断があった。同じ保守政治家だからといって、二人を一人の政治家のように扱うことは、むしろ高市早苗という政治家を正しく評価することを妨げる可能性がある。

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