遺言三種
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あらすじ(AIが作成しました)
森鴎外自身の人生の終焉に際して記された三つの遺言を収める。財産の分配方法や家族の生活費負担といった現実的な配慮を定めたもの、相続人や家財の細かな分割を指示したもの、そして死に際しての自身の肩書きや墓碑の刻み方、官位や勲等といった外形的な扱いを辞退する覚悟を親友へ託したものから構成される。著者が石見人森林太郎として静かに生を全うせんとする死生観と、遺族に対する冷徹かつ現実的な視点が鮮明に示される。
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遺言
壱 予ハ予ノ死後遺ス所ノ財産ヲ両半ニ平分シ左ノ弐条件ヲ附シテ壱半ヲ予ノ相続者予ノ長男森於菟ニ与ヘ壱半ヲ予ノ母森みねニ与フベシ 弐 予ノ祖母森きよノ生活費予ノ妻森しけガ生家荒木氏ニ復籍シ若クハ他家ニ再嫁スルニ至ルマデノ生活費予ノ弟潤三郎ガ他家ニ養ハレ若クハ自活ノ方法成立スルニ至ルマデノ生活費及教育費予ノ長女茉莉ガ他家ニ嫁スルニ至ルマデノ生活費及教育費並他家ニ嫁スル時ノ支度費ハ予ノ死後森於菟ガ予ノ与フル所ノ財産及其利子ノ壱部ヲ以テ負担スヘキコト是ヲ条件ノ壱トス 参 予若シ森於菟ガ未ダ丁年ニ達セザル時ニ死セバ森於菟ノ財産ハ森しけヲシテ管理セシメズ予ノ弟森篤次郎及予ノ妹小金井キミヲシテ管理セシムルコト是ヲ条件ノ弐トス 肆 右第参号ノ条件ハ予ヲシテ此遺言ヲ為サシムル動機ノ存スル所ナルガ故ニ予ハ茲ニ右条件ノ已ム可カラザル所以ヲ特ニ言明ス即チ森しけガ森於菟ト同居年ヲ踰エナガラ正当ナル理由ナクシテ絶テ之ト言ヲ交ヘズ既ニシテ又正当ナル理由ナクシテ森みね及森潤三郎ト同居ヲ継続スルコトヲ拒ミ右参人ニ対シテ悪意ヲ挟ミ到底予ノ遺族ノ安危ヲ託スルニ由ナキコト是ナリ 伍 予若シ森於菟ガ未ダ丁年ニ達セザル時ニ死シテ予ノ遺族恩賜金ヲ受ケ若クハ寡婦孤児扶助料ヲ受クルトキハ縦令其恩賜若クハ扶助ハ森しけノ名ヲ以テセラレンモ予ハ右第参号ノ管理者ヲシテ之ヲ管理セシメ以テ予ノ遺族全体ノ安全ヲ謀ランコトヲ欲ス 陸 此遺言証書ハ予ノ母森みねヲシテ管理セシム 漆 此遺言ノ執行ハ冨塚玖馬氏及予ノ妹婿小金井良精ニ委任ス
遺言
予ハ明治三十七年従軍セシ時遺言ヲ作リシニ其後家族ニ生歿アリテ事情一変セリ故ニ更ニ遺言スルコト下ノ如シ
一、有価証券並預金現金ハ小金井喜美、森(分家)潤三郎ニ与フル各千円計弐千円ヲ控除シ残余ヲ
二分シ半ハ於菟ニ与ヘ半ハ更ニ三分シテ茉莉、杏奴、類ニ平等ニ与フ
二、本郷ノ地所家屋ハ東半部強ヲ於菟ニ西半部弱(賀古鶴所ヨリ買取リシ地所並之ニ属スル家屋)ヲ類ニ与フ
三、日在ノ夷隅川岸ノ地所家屋ハ志げニ与フ
四、日在ノ御門停車場脇ノ地所ハ於菟ニ与フ