TRENDIA CLASSIC

宇宙爆撃

蘭郁二郎

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所長の発表が終ると、文字通り急霰のような拍手がまき起った。

その中でただ一人木曾礼二郎だけが、呆然とした顔つきで、拍手をするでもなく、頬をほころばすでもなく、気抜けのように突立っていた。

「おい、木曾君――」

ぽんと肩を叩かれて、はっと気がつくと、すでに研究所の中庭にあつめられていた所員たちの姿は、ほとんど去りかけていた。勿論、いつの間にか壇上の老所長の姿も消えてしまっている。

「どうしたんだ、ばかにぼんやりしてるじゃないか」

「……いやあ」

「はっは、腐ってるんだな、わかるよ、腐るな腐るな」

「いやあ、何も……」

「ふっふっふ、いいじゃないか、希望を持て希望を――、何も今度ぽっきりのことじゃないんだからな、きっと俺たちも行くようになるぜ」

肩を叩いた長田が、慰めるような眼で、木曾の顔を覗込んだ。木曾は、その眼から顔を外らすと、

「そんなことじゃない」

「そんなことじゃないって――、じゃあ何んだね、何んにもないじゃないか、そんなにスネるもんじゃないぜ、そんなに行きたけりゃ、所長の方へ申出て置けよ、俺は早速申出るつもりだ」

「ふむ……」

「君の分も、申込んで置こうか」

「いや、いいよ」

木曾は、はげしくかぶりを振ると、思い出したように歩き出した。

「――いいよ、自分のことは自分でする」

研究所の中庭の、杜鵑花の咲いているコンクリートの池を廻って、すたすたと自分の室に帰って行った。親切にいってくれた長田には済まないようだけれど、木曾は、とても話をするのでさえおっくうだった。早く独りになって、眼をつぶって見たかった。

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