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TORENDIA

休刊的終刊

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

探偵文学を前身とする雑誌シュピオは、十三人の同人により出発し、海野十三や小栗虫太郎らの協力を得て改題した。探偵小説専門誌として意欲的に活動を続け、木々高太郎の直木賞記念号の発行や紙面の充実を図る。しかし支那事変に伴う持久体制の中で、理想の実現を道半ばに残しながら、二月四日の編集会議で休刊的終刊を決定する。本稿は、そうした雑誌の歩みと、再起を期した休刊に至る経緯を回顧し、読者への支援を求める一文である。

蘭郁二郎

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🎧 休刊的終刊 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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「シュピオ」は本号で第四巻第三号を数えた。尤もこれは前身たる同人雑誌「探偵文学」の重ねた年齢を含んでいるのであって、そもそもの出発は昭和十年三月に出た「探偵文学」にある。この雑誌は当時の所謂探偵小説の小鬼共が、十三人で始めた小雑誌で第二号で十一人となり第三号では九人となり、つづいて八人の同志となってしまったにも不拘、この八人で頑張って漸次紙数も増し、探偵小説の同人雑誌としては奇蹟的に平穏な好調のうちに第二巻第十二号まで続けて来たのであった。

然し、この無事平穏ということは、言いかえれば微温的な、あってもなくてもいいような、つまり存在価値のないものとなってしまっていた。同人が疲れて来たのもその理由の一つであろうが、そのままで置けば一二ヶ月で煙のように影も形もなくなってしまいそうな状態にあったのだ。

ところが、この気息奄々たる雑誌に活を入れる大変化が起った、というのは誌名を「シュピオ」と改題し、海野十三、小栗虫太郎、木々高太郎の三氏が、その改題第一号たる昨年の一月号に「宣言」として発表された意味で協力されることになったのだ。勿論、探偵文学同人は解散し、探文は解消してしまったのであるが、手続上の理由から探文の改題ということにしただけで、新生「シュピオ」は精神的にも物質的にも挙げて共同編集者の手腕に委ねられたのであった。

「シュピオ」は逐次、号を追て「宣言」にあるような理想の実現を冀図しつつあった。が、たまたまこの頃に前後して「月刊探偵」「ぷろふいる」「探偵春秋」等の僚誌が相継いで影をひそめ、探偵小説専門の月刊誌は本誌が唯一つのものとなってしまった。その中にあってシュピオは昨年の五月号を木々氏の直木賞記念号とし、探偵小説界最初の年鑑ともいうような二百三十余頁の尨大号を出すなど、大いに意気の程を示したのであるが、折柄勃発した支那事変に鑑み逸早く紙面を引締め、御承知の如き持久体制に這入っていたのである。

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