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TORENDIA

不沈軍艦の見本

本文約11,600字 ・ 読了時間 約24分

あらすじ(AIが作成しました)

金博士は、日本軍の驚異的な戦果を背景に、各国からその技術力に注目される。ある日、アメリカのルーズベルト大統領の特使が博士のもとを訪れ、協力を依頼する。博士はアメリカへ赴き、自ら設計した巨大な不沈軍艦ホノルル号を見本として提示する。その驚くべき構造に圧倒された大統領は、量産を計画し博士を名誉大統領に推薦する。しかし、艦が沈没し始めた最中、大統領は不沈艦に不可欠な素材であるゴムの調達先が日本軍の勢力圏にあることに気づく。

海野十三

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さても日本対米英開戦以来、わが金博士は従来にもまして、浮世をうるさがっている様子であった。

「ねえ、そうでしょう。白状なさい」

と、その客は金博士の寝衣の裾をおさえて話しかけるのであった。金博士が暁の寒冷にはち切れそうなる下腹をおさえて化粧室にとびこんだとたん、扉の蔭に隠忍待ちに待っていたその客は、鬼の首をとったような顔で、金博士の裾をおさえて放さないというわけである。

「これこれ、そこを放せ。早く放さんか。一大爆発が起るわ。この人殺しめ」

博士は、身ぶるいしながら、鍋のお尻のように張り切ったる下腹をおさえる。客は、そんなことには駭く様子もなく、

「大爆発大いに結構。その前に一言でもいいから博士直々の談を伺いたいのです。すばらしい探訪ニュースに、やっと取りついたのですからな。さあ白状なさい」

「なにを白状しろというのか、困った新聞記者じゃ」

「いや私は、録音器持参の放送局員です。博士から一言うかがえばよろしい。あの赫々たる日本海軍のハワイ海戦と、それからあのマレイ沖海戦のことなんです」

「そんなことをわしに聞いて何になる。日本へいって聞いて来い。おお、ええ加減に離せ。わしは死にそうじゃ」

「死ぬ前に、一言にして白状せられよ。つまり金博士よ。あの未曾有の超々大戦果こそ、金博士が日本軍に対し、博士の発明になる驚異兵器を融通されたる結果であろうという巷間の評判ですが、どうですそれに違いないと一言いってください」

「と、とんでもない」

と金博士は、珍らしく首筋まで赧くして首を振った。

「と、とんでもないことじゃ。あの大戦果は、わしには全然無関係じゃ。わしが力を貸した覚えはない」

「金博士、そんなにお隠しにならんでも……」

「莫迦。わしは正直者じゃ。やったことはやったというが、いくら訊いても、やらんことはやらぬわい。これ、もう我慢が出来ぬぞ、この殺人訪問者め!」

大喝一声、金博士は相手の頤をぐわーンと一撃やっつけた。とたんにあたりは大洪水となったという暁の珍事であった。

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