怪塔王
本文約164,400字 ・ 読了時間 約329分
あらすじ(AIが作成しました)
九十九里浜で暮らす一彦とミチ子は、猿の彫刻がついた巨大な鍵を持つ怪老人と遭遇する。その直後、近海で最新鋭の戦艦淡路が突如として座礁する怪事件が発生する。兄妹の叔父であり名探偵の帆村荘六が調査に乗り出す中、怪塔王と名乗る人物が操る怪塔ロケットが日本を脅かす。科学を悪用して世界を混乱させようと企む秘密結社の影に対し、帆村や海軍の勇士たちが立ち向かい、空を舞台に激しい攻防が繰り広げられる。科学兵器が飛び交う緊張感あふれる戦いが展開される。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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怪老人
1
怪塔王という不思議な顔をした人が、いつごろから居たのか、それは誰も知りません。
一彦とミチ子の兄妹が、その怪塔王をはじめてみたのは、ついこの夏のはじめでありました。
そこは千葉県の九十九里浜というたいへん長い海べりでありました。一彦は中学の一年生であり、ミチ子は尋常の四年生でした。二人は夏休がはじまると、まもなくこの九十九里浜へまいりました。
二人はたいへんふしあわせな兄妹で、小さいときに両親をうしないました。そののちは、帆村荘六という年のわかいおじさんにひきとられ、そこから東京の学校にも通わせてもらっていました。
帆村荘六というと、ご存じのかたもあるでしょうが、有名な青年探偵です。帆村探偵という名は、きっとどこかでお聞きになったでしょう。荘六おじさんは機械のことになかなかくわしい人です。理学士だそうですからね。
荘六おじさんは、夏休をむかえた兄妹を、この九十九里浜にある別荘へ遊びにやってくれました。
九十九里浜は、なかなか景色のいいところです。そして実にひろびろとしたところで、さびしいくらいのものです。
怪塔王に出会ったのは、一彦とミチ子がここへきてから、二三日のちのことでありました。兄妹が、波うち際で、貝がらをひろって遊んでいますと、うしろでざくりざくりと砂を踏む音がするではありませんか。
「だれかしらん」
と、うしろをふりかえってみると、背のひょろたかい一人の老人が、腰を曲げてよぼよぼと歩いていきます。肩には何がはいっているのか、大きな袋をしょっていました。
一彦は、そのとき下から老人の顔をちらと見上げましたが、おやと思いました。なぜといえば、その老人の顔がいかにも奇妙な顔だったからです。
2
砂の上をざくざくと歩いてゆく老人の顔が、たいへん奇妙だったといいましても、決してこわい顔だの、おそろしい顔ではありません。