地球発狂事件
本文約86,300字 ・ 読了時間 約173分
あらすじ(AIが作成しました)
アイスランドの記者ハリ・ドレゴは、巨船ゼムリヤ号にまつわる前代未聞の怪事件に遭遇する。事態は常軌を逸し、「地球発狂事件」と名付けられるほどの混迷を極めていた。事件の背後には謎の商人ケノフスキーや怪人集団の存在が浮上し、地球外の力が作用したとしか思えない不可解な現象が次々と発生する。ドレゴと友人の水戸宗一は、この人類未踏の恐怖事件の真相を追い、怪人たちの影を追跡することになる。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
💰 この本を応援する(投げ銭)
発端
この突拍子もない名称をかぶせられた「地球発狂事件」は、実はその前にもう一つの名称で呼ばれていた。それは「巨船ゼムリヤ号発狂事件」というのであった。これは前代未聞のこの怪事件を最初に発見し、そしてその現場に一番乗りをした上に、全世界の報道網に対し[#「対し」は底本では「封し」]輝かしき第一報を打つことに成功したデンマーク新報のアイスランド支局員ハリ・ドレゴの命名によるものであった。巨船ゼムリヤ号発狂事件――という名称からして既に怪奇味が横溢し只ならぬ事態が窺われる次第であるが、それが後になって更に一層発狂的命名をもって「地球発狂事件」と唱えられるに至ったのである。この改訂の命名者は、ドレゴ記者と仲よしの隣人である同業の水戸宗一君であった。
一体どうして巨船ゼムリヤ号が発狂したのか、また地球が発狂したのであろうか。率直にいって、この事件の名称はあまりに突拍子であり奇抜すぎて、なんだか本当のことのように思えないのである。ひょっとしたら、それはこれらの命名者であるドレゴ記者と水戸記者の、たちのよくない悪戯かもしれないと、始めはそう思った者もすくなくはなかったのである。
ところが、この事件の内容がだんだんさらけ出されて行くにつれ、その怪奇なる点、桁外れの点、常軌を逸している点などで「発狂事件」と命名するより外に他に[#「外に他に」はママ]妥当なる名前のつけ方がないことが、誰にも首肯されるに至った。さてこそまことに天下一大事、この事件にまさる大事件は有史五千年このかた記録にも予想にもなかったといえる。前置きはこのくらいに停め、それは一体どんな事件であったかという記述にうつらねばならぬ。それにはこの事件の発見者である記者ドレゴ君を登場せしめることが最も効果的であろう。