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TORENDIA

講和問題について

本文約750字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

北満の開拓移民が日本への引揚げ途上で追撃され、多くの婦女子が死に追いやられた悲劇を引く。この実話を通じ、戦争は婦女子に甚大な犠牲を強いると訴える。一部の層が主張する単独講和に対し、平和を維持できる条件を整えた全面講和と絶対的な武装放棄の必要性を説く。戦争挑発が続く帝国主義の世界において、近代戦の惨禍から逃れる場所はなく、講和を自らの生命に関わる切実な問題として捉え、平和の実現に向けた発言の重要性を論じる。

宮本百合子

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二、三日前の新聞に、北満の開拓移民哈達河開拓団二千名の人々が、敗戦と同時に日本へ引揚げて来る途中、反乱した満州国軍の兵に追撃され、四百数十名の婦女子が、家族の内の男たちの手にかかって自決させられたという記事がありました。

その時六、七名から十二名におよぶ女子供を銃殺した人達が復員しているという記事が問題となっていました。その中の一人である教員が、もしあの当時、“降伏”という言葉が日本にあったならば、ああいうことを誰がしたろうと語っていました。

日本の講和問題というと、それは政府の仕事で、私たち女などが発言する場所でないように思う習慣があるけれども、この恐ろしい悲しい実話一つを考えてみても、日本の婦人こそ平和について最も発言権の多い人々であることがわかります。

このあいだ朝日新聞が講和問題についてアンケートを集めたとき「単独講和でいいから、そして軍事同盟の条件がついてもよいから早いほどよい」と答えたのはおもに実業家でした。学者、作家、その他の人々は、「どうせ政府が宣伝しているように手ッとり早いことはできないのだから、日本の幸福のために、世界に日本の良心を示すために、平和がたしかに守れる条件をそなえた全面講和と絶対的な武装放棄を主張すべきである」と答えていました。

帝国主義の世界では、まだまだ戦争でもうける者があります。そのために景気がよくなるとか、失業が救われるとか、日本の地位が高くなるとか、戦争挑発を行います。

昔から、落城の時、まっ先に殺されたのは子供と女でした。現代の科学兵器で銃後というものはありません。この小さい海に囲まれた人口の多い日本が、万一超威力の近代戦にまき込まれたとしたら、どこによわい女、子供の安全な場所があるでしょう。

講和は私たちの生命の問題です。〔一九五〇年一月〕

完

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