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TORENDIA

働くために

本文約3,600字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の女性の服装について、生活の基調である労働と休息の場に応じた機能的な使い分けの欠如を指摘する。働き着とくつろぎ着が混同されたままの現状は、単調で複雑な着物文化に起因していると論じる。衣類の合理化には、生活感情の多様性を尊重し、働く環境や目的に応じた改善が必要であることを主張し、個々の生活スタイルや色彩感覚を反映させた、機能的かつ主体的な服装のあり方を探求する。

宮本百合子

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🎧 働くために / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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この頃は日本の女の服装について、簡単であること、働きよいこと、金をかけないことがどこででも云われている。大変着物に凝っている人たちが、昨今はそれらを又新しい工夫の条件にとりいれて違った形での数奇を示しているのや、それとは全く反対に、衣服は肉体をつつむ袋なりとでもいうように、何でもモンペの観念にひきつけてばかり考案されている単調さも、私たちの生活の現実とは何となしに遠い。

ごく大ざっぱに云って、私たち人間は皆一日のうち何時間か働いて、何時間かは休息しつつ生活している。着物もつまりは、その生活の二つの基調に適合した変化が必要だし、その必要をみたすことが衣服の最低の条件なのだろうと思う。

簡単服という言葉はホーム・ドレスを意味する日本名だが、日本の女性たちの生活は、働き着として朝身につけたその簡単着を、いつ、くつろぎ着にかえる時間と余裕とをもっているだろうか。

家の掃除をしたり洗濯をしたりするときホーム・ドレスで大働きをする主婦たちは、昼飯でもすんでからは、すこし気持のちがう午後の服に着かえるのが、洋服暮しの国々での普通の習慣である。そして、夜もうお客もないくつろぎの時間には、ゆったりとした寛衣にかえて、床に入る迄の休息を楽しむ。男のひとたちにしろ、その時刻には窮屈な上着はぬいで部屋着にくつろぐのである。

一日のうちのこういう変化は、簡単であること、働きよいこと、金をかけないことと一致して、私たちの生活にもっととり入れられていいことだと思う。衣服にこういう変化を持てるということは、とりも直さず家庭での仕事、外での勤労が規則的に行われること、簡単に着換えられる衣類の形であること、生活の感情の多様さが活かされている社会の雰囲気であるということを語っていて、そこに簡単簡素ということは単調と同じものではないという事実がはっきり示されるわけである。

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