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TORENDIA

星のわななき

本文約4,700字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

広島で被爆し行方不明となった中学一年生の甥が、危篤状態を乗り越えて奇跡的に生還し、脱毛などの後遺症に苦しみながらも学校に通えるまで回復するまでの過程を描く。著者自身の被爆体験や戦後の困窮した生活を背景に、極限状態を生き抜いた甥の姿や、宇宙の広大さと人間の生の意味を思索する心情を綴る。

原民喜

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🎧 星のわななき / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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私は「夏の花」「廃墟から」などの短編で広島の遭難を描いたが、あれを読んでくれた人はきまつたやうに、

「あの甥はどうなりましたか」と訊ねる。

「健在ですよ」と答へるものの、相手には何か腑に陥ちない様子がうかがはれるのであつた。してみると、どうもあのところは書き足りないのではなかつたかと思へる。それで、甥のところだけを切離してちよつと書添へておく。

私たちは八月六日に広島で遭難し、八日に八幡村に移つたが、中学一年生の甥だけはまだ行衛不明であつた。末子の死体をまざまざと途上で見て来た両親は、長男の方のことも、口に出しては云はなかつたが、殆ど諦めてゐたらしい。ある昼、突然、縁側で嫂の泣き喚く声がした。

「わあ、生きてゐたの、生きてゐたの」

と嫂は廿日市から自転車でその甥の無事だつたことを報らせに来てくれた長兄にとり縋るやうにして泣き狂つた。甥はしかしその日、廿日市の長兄のところまで辿りついたが、疲労のためまだこちらへは帰つて来なかつた。甥がこちらへ戻つて来たのはその翌日であつた。

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