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TORENDIA

旅人

本文約2,900字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

夏の夕暮れ、小高い丘で編み物をしていた子供たちの前に、旅人が現れる。旅人は、遠くの青い山の陰で生まれ、たった一人で長い旅を続けてきた自身の経験を語り始める。道なき道を越え、野宿を繰り返しながら見た森や動物たちの話に、子供たちは驚き耳を傾ける。やがて旅人は、子供たちもいつか一人で旅に出る日が来ることを告げ、日が暮れる中で三人と共に歩き出す。旅の過酷さと重みを感じながら、子供たちは民謡を口ずさむ。

宮本百合子

速度
🎧 旅人 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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人物

旅人

子供三人

A 無邪気な晴れ晴れしい抑揚のある声の児

B 実用的な平坦な動かない調子で話す児

C 考え深い様な静かな声と身振りの児

場所

小高い丘の上、四辺のからっと見はらせる所(講堂の段の上を丘に仮定)

時

夏の夕暮に近い午後

B、Cが丘の中程の木の切り株に並んで腰をかけて、編物をして居る。

B子は赤い毛糸。

C子は青い毛糸。

編棒を動かしながら二人は気が落ついて居るらしい口調で話して居る。

B ねえCちゃん、今日は私一度もAちゃんに会わないのよ。  どうしたんでしょう。 C ほんとにねえ。  若しかひょっとしたら病気なんじゃあないの? B そうねえ。 Bは何か思い出すらしく考えて居る。

やがて思いついたらしく、膝を叩いて嬉しそうに笑いながら、

B Cちゃん、私共はまあ、馬鹿な心配をしちゃったわ。  ほら、貴方おぼえてない?  こないだこの次のお祭りの日に町の叔母さんのところへおよばれだって云ってたじゃないの。  今日はそれで行ったのよ、ね?  そうじゃあなくって。 C そう云えばそうねえ、ほんとに。  私もうすっかり忘れて居たわ。  じゃあ、もうじき此処を通るでしょうね。  少しお家へ帰るのをおそくして一緒に行きたいわ。  貴方、そうしなくって? B ええ、ええ、ほんとにそれがいいわ。  もう少し待ってて見ましょうね。  きっとお土産を沢山抱えて来るに違いないわ。 C 私町のお話をききたいわ。  可愛い児が沢山居るんだってねえ。  大きなお家がならんでるんだってねえ。  まあほんとに私が行って見たらどんなだろう。 Cは手を止めて向うの方をながめる。

沢山の家並やかすかなどよめきに想像をたくましくして居るらしい様子。

B 私これを明日迄にしあげなけりゃ。 Bはうつむいて、せっせっと編みつづける。

Aが旅人と一緒に丘のだらだら坂をあがって来る。(手に花の入ったかごを持つ)

(檀に上る段々をだらだら坂のつもり)Cが見つける。

C ああ、Bちゃん、Bちゃん、  Aちゃんが来た事よ。 (のびあがる)

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