かえるの王さま
本文約4,900字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
森の泉で遊んでいた王女は、金のまりを落としてしまう。それを拾ったのは、人間の仲間入りを望む一匹のかえるであった。約束通りまりを拾ってもらった王女は、かえるの願いを一度は拒むが、父である王の諭しにより、かえるを食事や寝室に招き入れる。王女はかえるを壁に投げつけるが、その瞬間、かえるは美しい王子へと姿を変える。王子は悪しき魔法使いの呪いを解かれ、二人で国へ向かう旅路に出る。
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一
むかしむかし、たれのどんなのぞみでも、おもうようにかなったときのことでございます。
あるところに、ひとりの王さまがありました。その王さまには、うつくしいおひめさまが、たくさんありました。そのなかでも、いちばん下のおひめさまは、それはそれはうつくしい方で、世の中のことは、なんでも、見て知っていらっしゃるお日さまでさえ、まいにちてらしてみて、そのたんびにびっくりなさるほどでした。
さて、この王さまのお城のちかくに、こんもりふかくしげった森があって、その森のなかに一本あるふるいぼだいじゅの木の下に、きれいな泉が、こんこんとふきだしていました。あつい夏の日ざかりに、おひめさまは、よくその森へ出かけて行って、泉のそばにこしをおろしてやすみました。そして、たいくつすると、金のまりを出して、それをたかくなげては、手でうけとったりして、それをなによりおもしろいあそびにしていました。
ある日、おひめさまは、この森にきて、いつものようにすきなまりなげをして、あそんでいるうち、ついまりが手からそれておちて、泉のなかへころころ、ころげこんでしまいました。おひめさまはびっくりして、そのまりのゆくえをながめていましたが、まりは水のなかにしずんだまま、わからなくなってしまいました。泉はとてもふかくて、のぞいてものぞいても、底はみえません。
おひめさまは、かなしくなって泣きだしました。するうちに、だんだん大きな声になって、おんおん泣きつづけるうち、じぶんでじぶんをどうしていいか、わからなくなってしまいました。
おひめさまが、そんなふうに泣きかなしんでいますと、どこからか、こうおひめさまによびかける声がしました。
「おひめさま。どうなすったの、おひめさま。そんなに泣くと、石だって、おかわいそうだと泣きますよ。」
おや、とおもって、おひめさまは、声のするほうをみまわしました。そこに、一ぴきのかえるが、ぶよぶよふくれて、いやらしいあたまを水のなかからつきだして、こちらをみていました。