金の目銀の目
本文約33,300字 ・ 読了時間 約67分
あらすじ(AIが作成しました)
九州のさびしい村で神主の祖父と暮らす上野太郎は、大雪の日に墓参りの帰路、金と銀の目をした真っ白な猫を拾う。チロと名付けられたその猫と過ごすうち、不思議な出来事が続き、やがて太郎は異国の玄王や李伯将軍らと出会い、戦乱の世を治めるためチヨ子と共に国を立て直す冒険に身を投じていく。
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まっ白いネコ
九州の北海岸の、ある淋しい村に、古い小さな神社がありました。その神社のそばのあばら屋に、おじいさんとおばあさんとが住んでいました。おじいさんは、神社の神主で、ふだんは、近くの人達のためにお祈りをしてやったり、子供達にお習字のけいこをしてやったりしていました。えらい学者だとの噂でした。
この老人夫婦といっしょに、十二―三歳の男の子がいました。老人達の孫にあたる子供で、早くからふた親に死なれ、ほかに身寄りもないので、ひきとられて育てられてるのでした。上野太郎という名前で、頭が大きく、生まれつき大変りこうで、その上、おじいさんからいろんなことを教わって、深い、広い知恵を持っていました。
おじいさんとおばあさんと孫と三人は、貧乏ではありましたが、楽しく、暮らしておりました。
ところが、冬の寒い日、おばあさんは病気になって、亡くなりました。
悲しみのうちに、お弔いもすみました。
それから毎日、五十日のあいだ、太郎は、おばあさんの墓におまいりしました。雨が降っても雪が降っても、欠かしませんでした。
五十日目の日は、珍しい大雪でした。二、三日前から降り続いていたのが、夜になって急にひどくなり、朝起きてみると、野も山も見渡す限り、一面にまっ白でした。
「あの通りの大雪だから今日は止めたらどうだい」と、おじいさんは言いました。
「いいえ、今日でお終いだから、行ってきます。だいじょうぶです」と、太郎は答えました。
足には、ももひきの上に、きゃはんをつけ、たびを何枚もかさね、ぞうりをはき、手に毛糸の手袋をはめ、大きな頭には、おじいさんの大きな大黒帽をかぶり、そして古いマントにくるまって、まるで人形のようにまんまるくなって、太郎は出かけました。
雪はもう降り止んで、うすく日の光が差していました。どちらを見ても、どこを見ても、まばゆいほど、まっ白に光ってる世界です。誰も通る人もなく、犬の姿も見えず、小鳥の声も聞こえず、ただまっ白で、静かです。太郎は飛ぶようにすすんでいきました。
街道からそれて、せまい坂道をしばらくのぼり、向こうの小高い丘の上、そこにおばあさんの墓がありました。