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TORENDIA

虹猫と木精

本文約3,900字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

旅行中の虹猫は、木精たちが暮らす国に立ち寄る。そこでは女王の命により急遽薔薇色の短靴を大量に製作する必要が生じていたが、材料不足に悩んでいた。智慧のある虹猫は、自慢の歌で馬追ひ谷に生える白いやぶ薔薇を怒らせることで、その花びらを赤く染め上げ、材料を確保することに成功する。女王の危機を救った虹猫は、土産として魔術の井戸水とマンドリンを譲り受け、再び新たな旅路へと出発する。

宮原晃一郎

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🎧 虹猫と木精 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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第一回の旅行をすまして、お家へ帰つた虹猫は、第二回の旅行にかゝりました。

或日、れいのとほり、仕度をして、ぶらりと家を出て、どことはなしに、やつて行きますと、とうとう木精の国に来てしまひました。木精といふやつは面白い、愉快な妖精で、人に害をするやうなこともなく、たゞ鳥のやうに木にすまつてゐるのです。けれども鳥とちがつて、飛ぶことはできないのです。もつとも、鳥とはだいの仲よしで、鳥の言葉がよくわかりますから、郵便や電信などによらないで、おたがひに通信ができるのでした。

冬になりますと、木精は木からうつゝて、地の下の穴の中に入るのです。何しろ、はれ/″\とした木の上から、じめ/\して、きたならしい土の下に行くのですもの、大へんなちがひです。だから木精はだれもみな、春になるのを待ちどほしがつて、草が芽をふき、鳥がのどを鳴らして、春を知らせると、もう大よろこびなのです。

木精の国にはほかに動物はゐません。けれども虹猫は、古くから、この国に出入りして、おなじみですから、いつか雲の国に行つたと同様、かんげいされたのです。

木精は風がはりなたちで、人は人、自分は自分といふ風で、他の妖精を自分の国に住まはせません。それだからといつて、別だん、他の妖精と喧嘩をするわけでもありません。いや/\、かへつて、みんなと仲好くしてゐます。さうして、木精は、音楽をよくしますけれど、そのおもな仕事は、妖精の着物をこしらへることなのです。

その着物といふのは、とても想像も及ばぬほど、小さな/\、微妙な織物で、いろ/\さま/″\な、美しい、価のたかい材料で出来てゐるのです。たとへば、金蜘蛛、銀蜘蛛といふ、とくべつな蜘蛛の糸はもちろんのこと、その外に月の光り、蚕からとつた、それは/\柔かい生糸、魔術の井戸水にひたして色のさめないやうにした花びら、もうせん苔、水の泡、草の葉の筋など、そのほか、数かぎりのない材料が使はれるのです。

さて、この着物ができあがると、鳥がそれをもつて、妖精のところへ行き、代りの註文を受取つてくるのです。

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