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TORENDIA

チユーリツプ

本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

学校の帰りに、君子は美しい自慢のチューリップの球根を友達のノリ子へ贈ろうと決める。しかし翌朝、ノリ子が病気で学校を休んでいることを知り、君子は球根を庭へ埋めて春に花を咲かせてから渡そうと心に決める。厳しい冬を越え、ようやく春が訪れたある日、庭でリハビリをするノリ子の姿を見かけた君子は、自身の庭で蕾を綻ばせ始めた花を見て、ノリ子の回復を願いながら学校からの帰路につく様子を描く。

新美南吉

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🎧 チユーリツプ / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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學校の歸りに君子さんはお友達のノリ子さんにうちのチユーリツプの自慢をしました。

「うちで咲いたチユーリツプは、お花屋さんが賣りに來るのより五倍も綺麗なのよ。」

「あら、いゝわね。」とお友達のノリ子さんは羨しさうにきいて首をかしげました。

「クレイヨンの赤とどつちが赤いかくらべて見たのよ。そしたらクレイヨンの赤の方がづつとうすくつて汚いの。」

「あらそをを。」

「うちの母さんがいつてたわ、この花から口紅がとれやしないだらうかつて。」

「そをを。」

「ノリ子ちやんがあの花寫生なさつたら最優等よ、きつと。」

「あら、そんなことありませんわ。」

「昨日球根を埋めたんだけど、まだ二つか三つ殘つてたから、母さんにきいてノリ子ちやんにあげてもいゝわ。」

「頂いてもよくつて。」

「きつと母さんいゝつていふわよ。」

ちやうどその時ノリ子さんのお家の前に來ました。

「それぢや明日の朝持つて來てあげるわね」といつて君子さんはノリ子さんと別れました。家に歸つてお母さんにきくと、あげなさい、と仰言いました。そこで次の朝ノリ子さんを誘ひにいく時二つの球根を乾葡萄の空箱に入れて持つていきました。

「ノーリ子ちやん。」と君子さんは垣根越しに呼びました。するとノリ子さんの代りに、ノリ子さんのお姉さんが、

「はーい」と返事なさいました。あら、と思つてゐるとお姉さんが玄關から出ていらして、

「ノリちやんはお熱があるので學校へいけませんのよ。」と仰言いました。あまり驚いたので君子さんはチユーリツプの球根のことも忘れてしまつて「そをを」といつたきり、何もいはないで學校へ來てしまひました。

お家に歸つてから君子さんはチユーリツプの球根を庭のゆすら梅のかげに埋めました。そして春になつて花が咲いたらノリ子さんにあげようときめました。

ノリ子さんはご病氣が癒らないらしく、一週間たつても二週間たつても學校へ來ませんでした。そのうちに寒い冬が來て、クリスマスが來てお正月が來て、それからたうとう春がやつて來ました。梢が見えないほど高い欅に、細い芽がちよくちよく顏を出して來ました。

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