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TORENDIA

ふらんすの芝居

本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

フランスの芝居について、日本の劇場文化との違いや観劇習慣、演目の特徴などを比較しつつ綴る。夜八時頃から始まる開演時間や、国立劇場で古典劇を鑑賞する学生の姿、オペラ座とオペラ・コミック座の経営体制や観客の熱気ある様子を具体的に挙げる。また、芸術的な小劇場での研究的な舞台上演や、役者の演技を重視するフランス演劇の特性にも触れ、現地での観劇体験を通じてその魅力を伝える。

岸田國士

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🎧 ふらんすの芝居 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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一体、芝居の話といふものは、その芝居を観た同志でなければ、したつてつまらないと思ふのですが。……ですから、どの芝居がどうといふお話は、みなさんが仏蘭西へ一度いらしつてからのことにして、今日は、漫然と、仏蘭西の芝居で、日本の芝居と違ふところを、思ひ出しながらお話をして見ませう。

先づ、仏蘭西の芝居は、大てい晩の八時か八時半頃から初まります。従つて、芝居に行く前に夕食をすませます。ハネるのは、十時から十一時の間が普通ですから、電車のなくなる心配などはまあないわけです。帰りに、カフエーへ寄つて何か一寸したものを食べたり飲んだりすることもできます。そんなことをしないで、行儀よく家へ帰つて寝るとすれば、朝学校へ行くのにねむいなんていふこともありません。

若い娘さんが、独りで芝居に行くといふやうなことは殆どなく、何時でも家の人と一緒ですが、学校で習つた古典劇の実演を、国立劇場へ観に行くなんていふことは、日本ではないことですね。マチネーなどへは、学校から先生が連れて行つてくれることもあります。女学生は、みんな、ラシイヌとか、モリエールとか、コルネイユとかいふ劇作家の名を識つてをり、その脚本の一部分を暗誦してゐるんですから、さういふ場面を舞台で観、名優の口から、台詞としてそれを聴かされる時の感銘も、また一段と深いわけです。

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