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TORENDIA

期待する人

本文約530字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

演劇界における若手の不在と、新劇が老成を擬して新風を阻む現状を論じる。既存の枠組みから脱却し、力を蓄えつつある新進作家たちへの期待を表明する。新しい創作の姿勢を模索する作家たちが、紀元二千六百年奉祝演劇という機会を捉え、文学座のために書き上げた大作を通じ、彼らの新たな挑戦のあり方を綴る。

岸田國士

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🎧 期待する人 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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劇壇をざつと見渡してみて、そこに若い時代の溌剌たる動きがちつとも見えないのは特に演劇といふものゝ性格によるのであらうか? さういふこともたしかにあると思ふが、しかし、それよりもなによりも、私は、最近の新劇がやゝ老成の態を擬して新風を阻む傾向が著るしいからだと思ふ。

さういふ現状のなかから、期待すべき人々を挙げるとなると、勢ひ挙げても挙げなくてもおなじことで、私にもなにか張合がない。まだ表面に現れぬ力がどこかで養はれてゐはせぬかと、絶えず注意はしてゐるつもりだが強ひて期待をもつとすれば、さういふところで、徐々に大きく坐り直さうとしてゐる一群の新進作家たちにであらう。

ところが、この「坐り直す」といふことが、単に時局と調子を合せるといふことでないだけに、実はたいへんなことで、今までの勉強の役に立つ部分よりも、邪魔になる部分の方が多いといふ場合もなくはないのである。私の若い仲間のなかでも、現に今年からスタートを切り直さうとして、「健康な材料」と取り組んでゐる二三の連中もゐる。

紀元二千六百年奉祝演劇といふ与へられた課題は、正にその努力を試みる絶好のチヤンスなのである。阪中正夫、内村直也、矢取甲六の三君が文学座のためにそれぞれ大作を書きあげたことを先づ告げよう。

完

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