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TORENDIA

屋上庭園

本文約8,600字 ・ 読了時間 約18分

あらすじ(AIが作成しました)

デパートの屋上庭園で、偶然再会した二組の夫婦が雑談を交わす。一方は裕福な紳士と令夫人、もう一方は貧しいサラリーマンの並木夫婦である。かつての友人である並木と三輪は、互いの現在の境遇や価値観について言葉を交わす。華やかな街を見下ろしながら、貧しさの中で屈折した誇りを持つ並木と、親友として変わらぬ友情を示そうとする三輪の間の溝が深まっていく様子を描く。

岸田國士

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人物

並木

その妻

三輪

その妻

所 或るデパアトメントストアの屋上庭園

時 九月半ばの午後

[#改ページ]

二組の夫婦が一団になつて、雑談を交してゐる。一方は裕福な紳士令夫人タイプ、一方は貧弱なサラリイマン夫婦を代表する男女である。

男同志は極めて親しげな様子を見せてゐるに拘はらず、女同志は、互に打解け難い気持を強ひて笑顔に包んでゐるといふ風が見える。

三輪  それで買物は済んだのかい。 並木  買物……? 買物なんかどうだつていゝんだよ。 三輪  此の店へは、ちよいちよい来るの。 並木  ちよいちよい来る。しかし、滅多に買物はしない。此処は、君、屋上庭園でもなかつたら、僕達の来るところぢやないよ。 三輪  僕達も、あんまり此処へは来ないんだが、そら何時か此処から飛び降りて自殺した奴がゐたね、新聞に出てたらう、あれを思ひ出して、今日は一寸上つてみる気になつたんだ。 並木  あゝ、あれね……。

(一同は、今更の如く、下をのぞいて見る)

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